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なぜエース社員が、たった数百円のために交通費をごまかすのか できる社員ほど陥る心理的なワナ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/5 ページ)
空気が緩んだとき、最初に崩れるのは、意外にも優秀な成績を出している人だ。「モラルライセンシング」という認知の歪みについて解説する。
モラルライセンシングとは何か
モラルライセンシングとは「良いことをしたから、悪いことをしても許される」と無意識に思い込んでしまう心理現象である。道徳的な実績が、後の不道徳な行動の免罪符(ライセンス)になってしまう状態のことだ。
簡単に言えば「頑張った自分」へのご褒美として、普段は我慢している行動に手を出しやすくなるということだ。本人の中では「これくらいは問題ない」という自然な感情が起きる。そのため、自分が矛盾した行動を取っていることにすら気付かない場合が多い。
身近な例で考えてみよう。
- ダイエット中の人が、10キロ走ったあとに「これだけ頑張ったんだから」とビールを飲んでしまう
- 1カ月間節約を頑張った人が、月末に「ご褒美」として高額な買い物をしてしまう
- 商談の準備をしっかりできるようになった人が、お客様との接触回数を減らしてしまう
いずれも「良いことをした」「努力した」という事実が、「少しくらい横着してもいい」と思い込ませている。本人の感覚では合理的な判断だ。しかし冷静に見れば、本来の目的とは真逆の行動を取っている。
注目すべきは、本人がこの矛盾にほとんど気付かないことである。「頑張ったのだから少しくらい崩しても問題ない」という感覚は、非常に自然に思える。その自然さこそが、この心理現象の怖さなのだ。
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