「これ、どうみてもAIで作ったでしょ……」 素人くささより、AIくささが信頼を落とすワナ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/5 ページ)
「なんか、このメール読む気なくすんだよな……」ある広告代理店の部長(52歳)が、ため息混じりにそう言った。
「AIくささ」を消すためのシンプルな方法
もちろん、AIを使うこと自体が悪いわけではない。
AIは「ドラフト生成」において、極めて優秀なパートナーである。問題は「どのようなドラフトを生成してもらうか」そのデザイン基準や、骨子までも外注してしまうことだ。
AIくささを消す方法はシンプルだ。それは、以下の前提における設計を、人間がすることで解決する。
- 語句の定義
- クライアントの特定
- 目標の具体化
これらは、問題解決手法の「前提確認」で使われる3ステップである。
チラシを生成してもらうのであれば、どんなフレーズを使うのか。そのフレーズの意味は? なぜ当社がそのフレーズを使うのか? 当社のビジョンとどんな関係があるのかをAIにも伝えよう。
クライアント(今回の場合は、ペルソナ像)も具体的に伝える。どんな町工場で、どのような不満(ペイン)を抱き、どんなことを理想(ゲイン)としている担当者なのか。そして、今回の新商品によって、どんなペインが解消され、どんなゲインをもたらすのか。それらもしっかり言語化して伝える。
最後に、そのチラシを使って、いつまでに、どれぐらいの目標を達成させたいのか? 期限が短いのか? 特典、キャンペーンはあるのか?
これらをしっかり明確にしたうえで、AIを道具として使う。
AIが「超優秀な新人」と言われるゆえんである。どんなに優秀な新人であっても、「いい感じで、チラシを作って」とだけ依頼しても、体温が感じられるアウトプットは出てこない。
先ほどの若手社員も、課長との対話を経て、最終的には良いチラシを作り上げた。かなり遠回りはしたが、完成したチラシには、AIくささがなかった。
「AIくささを消せる人」が求められる時代に
これからの時代、「AIを使える人」よりも「AIくささを消せる人」のほうが圧倒的に価値が高くなる。
便利さに溺れて思考を手放した人ほど、成果物から「AI臭(しゅう)」が漏れて出てくる。その匂いは、想像以上に周囲に伝わっているものだ。
「あ、これAIだな」
そう思われた時点で、信頼は目減りしている。
AIは単なる道具だ。だからこそ人間が設計し、責任も人間が負う。この一線を守れる人だけが、信頼を積み上げていけるだろう。効率化と信頼構築は、本来トレードオフではない。両立できる人が、これからの時代に求められる人材だ。
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