銀無垢色に輝くフェアレディZは、なぜ作られたのか 旧車のビジネスモデルに変化到来:高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)
東京オートサロンは、カートレンドを象徴するイベントへと成長した。2026年もメーカーなどが趣向を凝らした展示を展開する中、異彩を放ったのは銀色に輝く日産フェアレディZ。異業種コラボによるアルミボディの製作は、どのように進められたのか。
2年かけて工夫を重ね、アルミボディを作り上げた
しかし、軟鋼をプレスした昔のボディパネルを、硬いアルミ合金で再現するのは大変だったようだ。
「やはり成形性は鋼板の方がいいので、絞り込んでいく部分は難しいですね。場所によってはプレスショックライン(金型とこすれて生じる傷跡)が出てしまうんです。プレスラインも、パリッとした線は板厚のあるアルミ合金では出しにくいので、オリジナルのプレスラインとは変えています」(同)
リアフェンダーのエッジやホイールアーチの絞りなど、アルミ合金とは思えないほど際立った加工が施されているのが分かる。一流のプレス技術を持つ試作メーカーだからこその製品で、S30Zオーナーの中には狂喜した人もいるに違いない(写真:meiju0919)
2年掛かりで何度も形状を見直し、金型を工夫して全アウターパネルを作り上げた。そうして作り上げられたアルミボディのフェアレディZは、見た目には銀色に輝く純正ボディそのままのように仕立てられている。
スターロードのスタッフによれば、S30Zのボディパネルは欠品も多いので、すべてをアルミパネル化するわけでなくても、フロントフェンダーを交換したいユーザーは多いと思われる。CFRPでアウタースキンを製作する手もあるが、重量面ではアルミ合金も遜色ない。構造材ではないパネルに使うには、金属の質感や耐久性からアルミ合金の優位性も高そうだ。
どのような形で販売していくのかは、これから相談していくようだが、矢作産業側は量産できる体制を確保しているという。レストアパーツ.comのAE86と違い、アルミパネル化することで高付加価値商品として国内製造を維持できると考えているようだ。
これまで日本の自動車メーカーの開発を支えてきた企業が、旧車専門店と手を組んで新たな事業に乗り出すのは、自動車産業の異業種進出とはまた違った方向性を感じさせてくれる。とても面白く、これからが楽しみなビジネスといえそうだ。
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