「AI? 結局業務にはあまり使えないでしょ」と嘆くマネジャーが見落としている決定的な視点:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/5 ページ)
この上司のAIの使い方には決定的な問題がある。AIはいうなれば、高級車の「フェラーリ」のようなものだからだ。
AIはフェラーリに近い
「AIはフェラーリみたいなもの」とは、つまりこういうわけだ。
フェラーリは高性能車である。加速も操縦性も桁違いである。しかし、運転技術が未熟であれば、その性能は引き出せない。むしろ危険ですらある。アクセルワーク、ブレーキング、ライン取り。すべてが問われる。
普通の車なら、アクセルを踏めばそれなりに走る。運転技術の差は、それほど大きく表れない。しかしフェラーリは違う。上手い人が乗れば圧倒的なパフォーマンスを発揮するが、下手な人が乗れば「宝の持ち腐れ」になる。場合によっては事故を起こす。
AIも同じだ。
浅い問いを投げれば、浅いアウトプットが返ってくる。フェラーリを運転して「遅い」「乗りにくい」という感想を持つべきではない。運転技術が足りないだけなのだ。
「AIは自分の鏡」という本質
若い部下は「AIは自分の鏡みたいなものです」という。これも本質を突いている。
戦略を深く考えている人が使えば、議論はさらに深まる。構造を理解している人が使えば、整理が加速する。しかし、表面的な言葉でしか問えない人が使えば、表層的な答えしか返らない。
私がコンサルティングで関わっている企業でも、同じ現象が起きている。AIを導入して成果を上げているチームと、「使えない」と放置しているチームがある。その違いを観察すると、AIの使い方ではなく、そもそもの思考の深さに差があることが分かる。
成果を上げているチームは、AIに問いを投げる前に、自分たちで論点を整理している。
「何を明らかにしたいのか」
「前提知識は何か」
「制約条件はどんなものがあるか」
これらを言語化した上でAIに投げるから、返ってくる答えも具体的になる。当然、思考が深い人は、AIが出したアウトプットを正しく検証・評価ができる。
「この選択肢はおかしい。別の視点で問いかけてみるか」
「良い成果物が出た。なるほど、こういう視点で考えさせたらいいのか」
このように、AIと一緒に考えられる謙虚さがある。「対話型AI」なのだから、相手を尊重し、質の高い「対話」ができるチームのほうが圧倒的に有利だ。
一方、成果が出ていないチームは「とりあえずAIに聞いてみよう」というスタンスだ。自分たちで考える前にAIに丸投げする。当然、返ってくるのは一般論である。それを見て「やっぱり使えない」「自分で考えたほうが早い」と結論づける。
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