「AI? 結局業務にはあまり使えないでしょ」と嘆くマネジャーが見落としている決定的な視点:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/5 ページ)
この上司のAIの使い方には決定的な問題がある。AIはいうなれば、高級車の「フェラーリ」のようなものだからだ。
能力差を埋めるのではなく、増幅する
ここで重要なポイントを整理しておこう。
機械やデジタルは、人間の能力差をある程度なら平準化する。電卓を使えば、計算が苦手な人でも正確な答えを出せる。表計算ソフトを使えば、複雑な集計も自動化できる。これらは「能力差を埋める」ツールである。
しかしAIは違う。思考力、言語化力、構造化力をそのまま拡張する。つまり「能力を増幅する」装置なのだ。
増幅するということは、元の能力が高ければ高いほど、出力も大きくなるということだ。逆に、元の能力が低ければ、増幅しても大した出力にはならない。
だからこそ「AIを使えば誰でも優秀になる」という言葉は半分正しいが、半分は誤り。正確には、「AIを使えば、今の自分が増幅される」のである。
「AIは自分を映す鏡である」
と言われるゆえんだ。
問われているのは「問いを立てる力」
フェラーリに乗る資格は、免許証でなければ、購買力でもない。高性能スポーツカーを操ることができる技量である。AIを使いこなす条件も同じだ。操作方法ではなく、問いを立てる力が問われる。
「AIの使い方を学ぼう」という研修が流行っている。プロンプトの書き方、ツールの操作方法、活用事例の紹介。それ自体は悪くない。しかし、それだけではまったく不十分だ。
本当に必要なのは、問いを立てる力を鍛えることだ。何を明らかにしたいのか。前提条件は何か。どんな構造で整理すべきか。これらを言語化できなければ、AIを使いこなすことはできない。
逆に言えば、問いを立てる力がある人は、AIの操作方法を知らなくても、すぐに使いこなせるようになる。なぜなら、AIに何を聞けばいいかが分かっているからだ。
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