「AI使ってない社員は昇進させません」――あなたの会社にも導入すべきか?:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/5 ページ)
米国のビッグテック企業でも「AIの利用はもはやオプションではない」として、AI活用を人事評価や雇用維持の前提とする流れが強まっている。AIへの適応が、キャリアを左右する時代が来たようだ。
「AIを使わなきゃ出世できない」の本当の意味
ここでアクセンチュアの方針に戻ろう。
同社がAI利用を義務化したのは、シニアマネジャーやアソシエイト・ディレクターといった経営幹部候補だ。つまり、プロデューサーやディレクターの役割を担う人材である。
彼らがAIを使えなければ、AIが設計した成果物を検証できない。AIの出力を適切に判断できない。だから義務化した。これは理にかなっている。
問題は、この方針を「全社員に適用すべきだ」と拡大解釈することだ。現場のオペレーターにまでAI利用を義務化しても、本質的な効果は薄い。彼らに必要なのは、AIを使うことではなく、AIによって設計された仕組みやデジタルツールを使って作業を行うことである。
経験豊かな人は置き換えられない
もう一つ重要な視点がある。AIには決定的に欠けているものがある。それは「文脈を読む力」だ。
ここで言う文脈とは、文章の前後の流れという狭い意味ではない。その業界の慣習、その組織の力学、その人の背景、そのときの空気感。言葉にできない、データ化しにくい、非言語の情報である。
例えば新規事業を立ち上げるとき、経営陣の本音と建前、過去の失敗事例、関係部署の感情、キーパーソンの思惑といった文脈は、人間の経験と対話の中でしか把握できない。こうした文脈を読み取り、言語化し、戦略に落とし込むことは、AIにはできない。
だからこそ、経験豊かな人は置き換えられない。プロデューサーやディレクターとして、文脈を読み、判断し、検証する役割を担い続けることができる。
逆に言えば、経験の浅い人は危うい。文脈を読む力が十分に育っていないからだ。そうした人がAIと競合すれば、AIに置き換えられても仕方がない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
部下「出社義務化なら転職します」 上司は引き止めるべきか、去ってもらうべきか
出社義務化で部下が次々辞める時代。管理職はどう向き合えばいいのか――答えは意外なところにある。
オンライン会議中に宅配を受け取る新入社員 叱っていいのか、悪いのか?
何度も続くと気になってくるし、客先での商談となると話も変わってくる。
「残業キャンセル界隈」名乗る若者が増加中…… 上司はどう向き合うべき?
SNS発の「○○キャンセル界隈」が職場にも広がり、「残業キャンセル界隈」を名乗る若手が増えている。背景には働き方改革の誤解や成果への無関心がある。組織の生産性低下を防ぐには?
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
もしこんな相談を受けたら、決して避けてはいけない。上司がどう向き合うべきか解説する。
