2015年7月27日以前の記事
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「AI使ってない社員は昇進させません」――あなたの会社にも導入すべきか?「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/5 ページ)

米国のビッグテック企業でも「AIの利用はもはやオプションではない」として、AI活用を人事評価や雇用維持の前提とする流れが強まっている。AIへの適応が、キャリアを左右する時代が来たようだ。

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「AIを使わなきゃ出世できない」の本当の意味

 ここでアクセンチュアの方針に戻ろう。

 同社がAI利用を義務化したのは、シニアマネジャーやアソシエイト・ディレクターといった経営幹部候補だ。つまり、プロデューサーやディレクターの役割を担う人材である。

 彼らがAIを使えなければ、AIが設計した成果物を検証できない。AIの出力を適切に判断できない。だから義務化した。これは理にかなっている。

 問題は、この方針を「全社員に適用すべきだ」と拡大解釈することだ。現場のオペレーターにまでAI利用を義務化しても、本質的な効果は薄い。彼らに必要なのは、AIを使うことではなく、AIによって設計された仕組みやデジタルツールを使って作業を行うことである。

経験豊かな人は置き換えられない

 もう一つ重要な視点がある。AIには決定的に欠けているものがある。それは「文脈を読む力」だ。

 ここで言う文脈とは、文章の前後の流れという狭い意味ではない。その業界の慣習、その組織の力学、その人の背景、そのときの空気感。言葉にできない、データ化しにくい、非言語の情報である。

 例えば新規事業を立ち上げるとき、経営陣の本音と建前、過去の失敗事例、関係部署の感情、キーパーソンの思惑といった文脈は、人間の経験と対話の中でしか把握できない。こうした文脈を読み取り、言語化し、戦略に落とし込むことは、AIにはできない。


非言語の情報を含めた経験がものをいう

 だからこそ、経験豊かな人は置き換えられない。プロデューサーやディレクターとして、文脈を読み、判断し、検証する役割を担い続けることができる。

 逆に言えば、経験の浅い人は危うい。文脈を読む力が十分に育っていないからだ。そうした人がAIと競合すれば、AIに置き換えられても仕方がない。

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