「AI使ってない社員は昇進させません」――あなたの会社にも導入すべきか?:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/5 ページ)
米国のビッグテック企業でも「AIの利用はもはやオプションではない」として、AI活用を人事評価や雇用維持の前提とする流れが強まっている。AIへの適応が、キャリアを左右する時代が来たようだ。
AI利用義務化の前にやるべきこと
では、日本企業はどうすべきなのだろう。私の考えを述べたい。
AI利用の義務化は、対象を絞って行うべきだ。具体的には、プロデューサーやディレクターの役割を担う人材、つまり管理職や経営幹部候補に限定する。彼らがAIを使いこなせなければ、組織全体のAI活用は進まない。
一方、現場のオペレーターには義務化よりも、AIによって設計された仕組みを使わせることを優先する。彼らに必要なのは、AIを使うことではなく、現場経験を積んで自分の頭で考えることだ。経験がなければ、文脈を読む力は身につかない。
そして何より、義務化の前にやるべきことがある。仕事を4つの役割で整理し、どの領域にAIを使い、どの領域を人間が担い、どの領域をデジタルツールに任せるのか。この仕分けをすることだ。
あなたの会社にも導入すべきか?
冒頭の人事部長への回答に戻ろう。
「AIを利用しなければ出世させない」という方針を導入すべきかどうか。答えは「対象を絞れば、イエス」である。
管理職や経営幹部候補には、AI利用を義務化してもいい。彼らがAIを使えなければ、組織のAI活用は進まない。しかし、全社員に一律で適用するのは間違いだ。役割によって、AIとの関わり方は異なる。
そして、もう一つ大切なことを伝えておきたい。
義務化されようがされまいが、AIを使いこなせない管理職は市場から淘汰されていく。会社が義務化しなくても、市場が義務化すると私は考えている。AIを使いこなせる人材と、そうでない人材の間で、生産性の差は激しく開いていくはずだ。その差は、やがて給与の差になり、キャリアの大きな差になる。
「AIを利用しなければ出世させない」という言葉は、近い将来、すべての企業で当たり前になるだろう。ただし、それは全社員に対してではない。文脈を読み、判断し、検証する役割を担う人材に対してである。
AIを導入すること自体が目的になってはいけない。その機会を使って、業務の棚卸し、要素分解をしていくことだ。AI活用よりも、そのプロセスに大きな意味がある。
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