ホワイトハラスメント? じゃあどうすれば……"優しすぎるだけの指導"を変える方法:「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/4 ページ)
当たり障りのない指導しかできず、部下の成長機会を奪ってしまっている。それがホワイトハラスメントだと気付いたときには、すでに部下の転職意向が高まっていたというのだ。ではどうすればいいのか。
優しくすべきか、厳しくすべきか?
私は20年以上も「マネジャー研修」に関わってきているが、昨今の上司は明らかに迷っている。「優しくすべきか、それとも厳しくすべきか」という問い掛けばかりしている。
「優しくしたら、成長しません」
「厳しくしたら、パワハラと言われます」
「どんなバランスでやったらいいのでしょうか?」
しかしこれは、そもそも「問いの立て方」が間違っている。
どちらの方向に振れても問題が起きるのは、「何のために指導しているのか」という目的がずれているからだ。
指導の目的は、ただ一つだ。部下が目標を達成できるようにすること。それだけである。目標を達成することで組織に貢献できるし、そのプロセスにおいて成長するのだ。
山頂への登山ルートが見えれば、人は自ら動く
部下育成を「山登り」に例えてみよう。そうすると、分かりやすいはずだ。
上司の役割は、山の“山頂”まで部下を連れていくことと考える。山頂とは、組織が設定した目標のことだ。
「山頂に向かって登ろう」という合意ができない部下は、まずいない。自分の目標として納得できれば、人は自ら動こうとする。主体的に動かない問題は、限られている。
「どう登ればいいか分からない」
「最も効率のいいルートはどこか?」
「もしも迷子になったらどうする?」
ルートが見えていないから、一歩を踏み出せない。「大丈夫」「君ならできる」と言われても、万が一のことを考えると躊躇(ちゅうちょ)する。だから、動けなくなる。これが「主体性が欠けた部下」の正体だ。
だとすれば、上司がやるべきことは明確だろう。
山頂への登山ルートを一緒に設計し、ルートの途中にある経由地(中間目標)を示し、経由地ごとに進捗を確認することだ。「もっと主体性を持て」「とりあえず動いて」と叱咤(しった)するのではなく、「次の経由地はここだ。そこまでどう進むか、一緒に考えよう」と向き合うこと。それが、本来の指導の姿である。
この山登りの例えで言えば、ホワイトハラスメントとは「山頂まで行かなくてもいい」と言ってしまう上司の姿勢だ。
「きつかったら無理しなくていい」
「途中で下山してもいいから」
「私が代わりに登ってあげようか?」
と言い続けることは「優しさ」とは言えない。部下が山頂にたどり着く機会を奪っているのだ。
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