家電売り場はなぜ“中国化”したのか 静かに進んだ日本メーカーの撤退劇:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
家電量販店では、中国製品が存在感を強めている。日本企業による家電事業の売却が進んだことなどが背景にある。一方、これは日本のものづくりの敗北を意味するわけではないだろう。
中国製家電のメリットと懸念とは
第3の理由は、日本企業の戦略である。家電は生活に密着しており、ブランド価値は高いが、利益率は必ずしも高くない。日立は家電事業の売却を進め、ソニーもテレビ事業をTCLとの合弁企業に移す計画を進めていると報じられている。半導体やエンタメ、ITインフラ、車載、B2Bソリューションのほうが成長性や利益率に期待できると判断した結果、家電は切り離しの対象になった。
第4の理由は、流通側の変化である。Amazonや楽天などのEC、ニトリやドン・キホーテなど異業種の参入により、家電量販店は「安く仕入れて売る」だけでは差別化しにくくなった。
ヤマダホールディングスとエディオンの統合構想でも、プライベートブランド(PB)の強化が狙いの一つとされている。PB家電は、企画を日本側が担い、製造を中国などの海外工場に委託するケースが多い。結果として、店頭には「日本の小売企業が企画した中国製家電」が増えていった。
ここで重要なのは、いまや「中国製だらけ」が必ずしも品質低下を意味しないということだ。
むしろ一部では、日本の企画力と中国の生産力が組み合わさることで、価格と性能のバランスが改善しているといわれる。ハイセンス傘下に入ったREGZAブランドは、国内テレビ市場で存在感を取り戻し、生活家電メーカーの東芝ライフスタイルも美的集団傘下で黒字転換したという。
一方で、課題もある。家電は生活インフラであり、データの収集・管理などセキュリティも含めて信頼性が問われる。スマートテレビやロボット掃除機など、インターネットに接続される家電が増えるほど、製造国だけでなく、クラウドやアプリ、個人情報の扱いも重要になる。安さだけで選べばよい時代ではない。
例えば、中国メーカーの製品は、たびたびメーカー側のサーバにアクセスしてファームウェア更新などを行うものも少なくない。その際に、データが中国に送られてしまう懸念もあり、米政府なども規制している。
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