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ハイエースはどこまで進化できる? 「変えたくても変えられない」ニッポンの商用バン事情高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)

トヨタのハイエースはビジネス用途を中心に、幅広い業種で利用されている。その歴史を見ると、使い勝手の良さと高級感を高めたことで広く支持されてきた。一方、現行の200系は20年以上フルモデルチェンジしていない。それはなぜなのか。

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200系が22年続くロングセラーとなっている理由

 100系の黄金期を経て、ハイエースはモデルチェンジを果たす。それは100系がデビューして実に15年が経過するタイミングであった。

 2004年にデビューした5代目のハイエースが、現在も販売が続く200系と呼ばれるシリーズだ。つまり、22年続いている超ロングセラーなのである。そこには、現行のハイエースのパッケージング(車体サイズや室内・荷室の配置設計)の限界と、それを超えるサイズへの抵抗が大きいという背景がある。


現行の標準ボディとなるハイエースロングバン。タイヤをボディ側面近くまで配置することで走行安定性、空力性能が向上し、荷室のさらなる拡大にも貢献している(写真:トヨタ)

 ハイエースのボディサイズは全長4695ミリ×全幅1695ミリ。これは、ぎりぎり5ナンバーサイズに収まる。これを超えて3ナンバーサイズとなっても税法上は変わらない。自動車税はエンジン排気量によって、重量税は車重によって決まるからだ。

 しかしハイエースは、この5ナンバーサイズという点が非常に重要なのだ。日本の都市部や住宅街には狭い道が多く、また宅地の一区画も小さくなっており、建築面積10坪以下の狭小住宅も珍しくない。

 このような道路・住宅環境では、仕事に使うクルマのサイズは限られる。駐車場がない住宅の新築工事やリフォームを行う場合、建築業者の車両を止める場所の確保が問題となるからだ。わずかに残った敷地部分にクルマを止めて作業を行う場合、車両を置くスペースと、道具や資材を出し入れする作業スペースの両方を確保する必要がある。

 業種によっては軽貨物バンに買い換えるケースもあるが、建築資材などは大きいものが多いため、それらを扱う業者はハイエースを使い続けている。何より、長年の仕事で培った収納や仕事のノウハウがハイエースの荷室には詰まっているのだ。たとえ数十センチでも荷室が狭くなったら、それらのノウハウは破綻してしまう。

 建築業だけではない。ハウスクリーニングや中小の製造業、卸売や小売など幅広い業種で、軽貨物バンやプロボックスではやや狭いケースがあり、「大は小を兼ねる」を実現できる上限が、5ナンバーサイズのハイエースなのである。

 現行からのフルモデルチェンジとなると、衝突安全基準のためにセミボンネット型(運転席の前に短いボンネットを設けた車体構造)へとシルエットを変更せざるを得ない。その場合、3ナンバーサイズにするか、荷室を短くするか、どちらかを選ばなければならない。トヨタも日産も、これまでの商用需要が分かっているから5ナンバーサイズの提供を続けている。

 業務ではない目的でハイエースを使う個人ユーザーは、オートバイやレーシングカート、スキューバダイビング、サーフィンなどのスポーツの機材を運搬して楽しむ人々であろう。

 介護など福祉関係でもハイエースの特装車は多く使われているが、乗車人数がそれほど多くない場合は、より運転しやすいミニバンなどが使われるケースも増えている。

 すでに3ナンバー仕様となっているワイドボディの場合、Bピラー(前席と後席の間の柱)より後方の寸法はロングボディと変わらず、ボンネットを150ミリ前方へと延長させることで衝突安全性を高めている。

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