オニツカタイガーが“新宿ど真ん中”で描く世界戦略 プラダやロエベと競う「売上1365億円の先」(2/3 ページ)
オニツカタイガーが、東京・新宿に世界最大となる1837平米の旗艦店をオープンした。2025年12月期売上高1365億円(前期比43%増)と急成長を遂げる同社は、スニーカーの枠を超え、アパレルや高級家具、体験型アミューズメントを備えた「日本発ラグジュアリーブランド」へ脱皮を図る。パリやロンドンで行列を作る世界的人気を追い風に、プラダやロエベら欧州名門に挑む勝ち筋とは。
売上高1365億円 パリやロンドンでも行列の「NIPPON MADE」
オニツカはその斬新なデザインから、特にインバウンドに人気を博す。世界に約190店舗を構え、2025年7月にはパリのシャンゼリゼ通りに旗艦店をオープンするなど、各都市の目抜き通りに出店している。
どの店も行列ができるほど注目されている状況だ。商品は、日本よりも先にファッションの発信地であるパリやロンドンから人気を博すこともあるという。今回の出店も、インバウンドが多く訪れる新宿を選んだことで、世界中のオニツカファンに向けアピールする構えだ。
最も大きな割合を占めているシューズは、その独特のデザイン性が客に受けている。シューズ「MEXICO 66」を始め、最近ではデニムジャケット、ジーンズ、サングラスも人気になっており、独自のラグジュアリーブランドが世界的にも定着し始めているようだ。
オニツカタイガーの高価格商品がインバウンドを中心に売れており、親会社のアシックスの業績アップにも大きく貢献している。アシックスはオニツカタイガー事業の分社化を推し進め、2026年2月には新会社OT GROUPを設立した。今後はオニツカならではの強みを生かし、より機動的な成長を目指す方針だ。
庄田CEOは「新宿は、日本を代表する商業エリアであると同時に、世界中から多くの人々が訪れる街です。銀座、渋谷に続き、この街にランドマークとなる店舗を構えることで、より多くのお客さまにオニツカタイガーの価値観や美意識に触れていただき、日本発のブランドとしての存在感をさらに高めていきたいと考えています」と語る。
新宿店オープンを機に世界ブランドへの飛躍を目指している。
「私たちが目指しているのは、店舗を増やすことではありません。一つ一つの店舗がブランドの思想や価値観を伝え、お客さまの記憶に残る体験を提供することです。この新宿店がOT GROUPの新たな挑戦を象徴する場所となり、世界中のお客さまにオニツカタイガーの魅力をより深く感じていただける拠点へと育っていくことを期待しています」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ANA「会員制度見直し」で問われる企業姿勢 JALとの比較で見えた“選別”の代償
ANAは4月23日、上級会員制度「スーパーフライヤーズカード」の見直しを発表した。今回の改定がANAのビジネスに今後、どれだけの影響を与えるのか。競合JALの戦略と比較し、考察する。
マイル庶民化で激化する「地上戦」 決済額300万円のANA、生涯伴走のJALに見る勝算
日系大手のANAとJALの両社は、自社のマイルを基盤とした「金融・プラットフォーム企業」への変革に活路を見いだしている。「移動の提供」だけでは維持できないインフラコストを、いかにしてマイルプログラムをベースとした決済サービスによって回収するのか。両社の戦略の違いから、マイル経済圏の展望を読み解く。
富裕層の「使う喜び」をどう引き出すか ダイナースとニューオータニ「18万円超カード」の真意
内閣府のデータが示す「85歳でも資産が減らない」というデフレマインドに縛られた日本型富裕層。インフレ時代を迎え「資産を体験に変える」ためのコンパスとして、ダイナースクラブとホテルニューオータニが年会費18万円超のプレミアムカードを解禁した。「全員平等」を守ってきた老舗ホテルの方針転換の裏には、半世紀続く厳格な審査体制と「平均値しか出せないAI」には不可能な人間のおもてなし戦略があった。
年会費16万5000円を「据え置いた」AMEX プラチナが売る"体験"の裏に「年500万円」の顧客選別
アメリカン・エキスプレスは、「プラチナ・カード」の年会費16万5000円を据え置き、特典を刷新した。競合の「安いプラチナ」が乱立する中、本家は価格競争を拒み、「体験の総量」で勝負を仕掛ける。しかし華やかな拡充の裏には、旅行保険の自動付帯廃止や、最大特典の獲得に「年500万円の決済」を義務付ける防衛線が潜む。高額利用層だけを絞り込む「顧客選別」とは――。
ANAは座席指定不可、JALは変動制マイルへ 苦境の国内線“値上げとサービス制限”の真相
ANAは大胆な運賃体系の変更に踏み切り、JALは顧客への寄り添いを重視する戦略を取っている。目前に迫る「史上空前の燃料高騰」が浮き彫りにした国内線ビジネスの限界とは? “運賃値上げ”を見据えた両社の生存戦略を分析する。
Amazonプライム責任者に聞く「AI×CX戦略」 サブスクビジネス成功の「3つの要点」
7年ぶりに来日したAmazonプライムのグローバル責任者に、AI活用と顧客体験(CX)向上策の現状、そしてその経営戦略における位置づけについて話を聞いた。
AIが破壊するIT業界の“人月商売” 「SIerの死」後に“生き残る者”の正体
米Anthropicの機能発表で約8300億ドルの時価総額が消し飛んだ「AIショック」。画面の使いやすさで稼いできたSaaSや、時間と人数を積み上げるSIerの「人月商売」が崩壊の危機に直面している。だが、業界ルールにのっとった複雑な計算(ビジネスロジック)を握る企業は依然として強い。真の構造変化はどこで起きているのか。AIに仕事を任せるための「安全管理」の難所と、「現場派遣型エンジニア」(FDE)の正体に迫る。
