役員全員が店舗の掃除まで アシックス廣田会長が「売上高1兆円企業」へ導く「ブレない対話術」(2/3 ページ)
赤字200億円のどん底から時価総額3.5兆円超、純利益1000億円超のメガブランドへ躍進したアシックス。廣田康人会長が語る勝因は、社内ブログを通じた社員との「逃げない対話」と役員全員が店舗の裏方に立つ「徹底した現場主義」にあった。ECシフトや高価格帯モデルへの集中、走法別シューズの開発、AI時代のリーダー像まで、社員と「夢」を共有し世界一を目指す経営に迫る。
利益率を底上げした構造改革 背景に「選手ファースト」
──コロナ禍の店舗休業やサプライチェーンの混乱など、数々の危機をどう乗り越えたのですか?
運も味方しました。実は2018年からEC(eコマース)の自社基盤を強化していたため、2020年に店舗が閉鎖された時もすぐECにシフトできたんです。
また、工場がストップして作れるシューズに足数が限られたときは「作れる数が決まっているなら、単価が高く利益率の良い上位モデルから優先的に作ろう」と切り替えました。これが結果的に値引き販売を減らし、会社全体の利益率を底上げする体質改善につながりました。
──これまで多くのアスリートと契約されてきましたが、スポンサーシップや製品開発のスタンスで変えた部分はありますか?
本当に素晴らしいアスリートの方々と契約し、共に歩んでこられたことには心から感謝しています。開発スタンスで大きく変えたのは「選手ファースト」の徹底です。
もともと選手に寄り添った開発はしてきましたが、その考え方がさらに進化して、選手一人一人のスタイルや走り方に合わせて僕らが製品をつくっていくという意識がより強くなっています。
ピッチ走法(歩数を増やしてスピードを上げるタイプ )の選手には「EDGE」(エッジ)、ストライド走法(歩幅を広げてスピードを上げるタイプ )の選手には「SKY」(スカイ)というように、走りの特徴に合わせて最適なシューズのモデルを提供します。トップアスリートが大会で勝ち、その姿を見た一般ランナーがSNSで「アシックス最高」と自発的に写真や動画を拡散してくれるのです。
インフルエンサーマーケティング以上に、この一般ユーザーの方々のリアルな熱量と、SNSでの口コミが、いま世界中で絶大な効果を生んでいます。
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