同社はすでに、日本(2局)欧州(2局)米国(1局)の5局に対応した「マルチバンド5」機能搭載の電波時計をリリースしている。今回の新製品は、中国・河南省の電波塔1局のみに対応した中国国内向けだが、今後は従来のマルチバンド5に中国エリアの1局を加えた6局ワールドワイド対応モデルの製品化も検討しているという。
「OCW-611/610」シリーズ
型番 | 文字板 | ベゼル色 | バンド色/素材 | 価格 |
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OCW-611TBY-1ADF | ブラック | ブラック | シルバー/チタン | 6990元 |
OCW-610TDY-1ADF | ブラック | シルバー | シルバー/チタン | 6490元 |
OCW-610TDY-7ADF | ホワイト | シルバー | シルバー/チタン | 6490元 |
OCW-610TBY-1ADF | ブラック | ブラック | ブラック/チタン | 7490元 |
OCW-610TLY-1ADF | ブラック | シルバー | ブラック/革 | 5990元 |
「OCW-611/610」シリーズの主な仕様
防水性 | 10気圧防水 |
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電波受信方法 | 自動受信(最大6回/1日)、手動受信(任意の時に標準電波を受信可能) |
受信電波 | BPC(中国) |
受信周波数 | 68.5kHz |
計時機能 | アナログ(7針)、1/20秒ストップウォッチ、時刻アラーム、フルオートカレンダー、世界時計27都市(サマータイム設定機能) |
使用電源 | タフソーラー(大容量ソーラー充電システム) |
駆動時間 | パワーセービング機能で約24カ月(フル充電時) |
サイズ | 47.7×43.9×11.8(OCW-611TBYは12.6)ミリ、重さ:OCW-611TBYは107グラム、OCW-610TDY/TBYは104グラム、OCW-610TLYは67グラム |
カシオ計算機 執行役員 時計統括部長の増田裕一氏も今回の上海での発表会に駆けつけ、集まった40社以上に及ぶ中国メディアの前で、同社の時計事業について語った。
「カシオは基盤事業と発展事業で構成されており、時計は基盤事業にあたる。1957年に電卓で興し、その後の電卓戦争を生き残ってそのエレクトロニクス技術をあらゆる分野に応用。時計事業は、1974年のデジタル時計カシオトロンで参入した。エレクトロニクスの部分で新しい価値を見出すことで事業を拡大していくのがカシオの基本戦略。時計事業を振り返ると、耐衝撃性を打ち出したG-SHOCKが80〜90年代に流行った時期もあったが、“機能デジタル”というニッチ市場で、常に新しい提案をし続けなければいけないという状況だった。一方、10億個ともいわれる全世界での時計市場は、その95%以上がアナログでメタルボディの世界。このアナログメタルでの展開を考えなければ、時計事業の拡大は見込めなかった」(増田氏)
G-SHOCKに代表されるように、従来の時計にはなかった「プラスチック外装・耐衝撃性」という独自カテゴリーで時計市場に新風をもたらした同社だが、時計の本流である“アナログメタル”という世界はむしろ苦手としていた。
「なんの優位性もなく、なんの技術もなく、ただ参入するだけではしょうがない。だがカシオには電波時計の技術があった」(増田氏)
“電波時計”という切り札でアナログメタル市場に戦いを挑んだ同社。そこでは、電波時計の受信感度をしっかり維持しつつ、いかにフルメタル化を果たすかがポイントになった。電波エネルギーのロスを最小化にするべく、なんども試行錯誤を繰り返して技術的課題を克服。この技術は非常に重要なノウハウとして、同社の特許となっている。
「現在では、メタルボディにおける電波時計のサプライヤーとしてシェアナンバーワンを自負している。電波時計はケアフリーの画期的な時計。いつか時計は、すべてこの電波時計に置き換わるだろう。今後はこの成長分野でカシオの特徴、独自性をどう出していくか。たとえばオシアナスでは5つのモーターを制御して7針を動かす多針の活用を提案している。“独創、電波ソーラー”を掲げ、新しい市場をリードしていきたい」(増田氏)
今後、大きな市場が見込まれる電波時計。中でも経済が急成長を続ける人口13億人の巨大市場「中国」での展開が、大きなカギになる。
カシオ(広州)商貿有限公司の総経理(社長)である丹敏行氏は、中国での電波時計の展開についてこう述べた。
「電波時計のもとになるセシウム原子時計は、10万年に1秒の誤差。そんなに超精度の時計が今の生活に必要だろうかという議論もある。それでも中国は電波塔を建てて、利益もなく運用コストもかかる電波時計に国をあげて取り組もうとしている。これは中国が、満足の価値を知る“知価社会”へと向かっており、そのための技術革新なのではないか。そして近い将来、非常に正確な“時刻”が必要な時代が来るという時代の要請でもあるのだろう。ぜひとも新しいマーケットを創造していきたい」
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