メガホン13年ぶり「グッド・シェパード」でデニーロが9年ぶり来日+D Style News

» 2007年08月09日 16時22分 公開
[本山由樹子,ITmedia]

 イエール大学でエリートコースを歩んでいた青年、エドワード・ウィルソンが米軍にスカウトされ、第二次大戦中の戦略事務局(OSS)で諜報任務に就く。終戦後、OSSの延長線上に創設されたCIAの一員に。そしてCIA最大の汚点と言われたピッグス湾事件によって、エドワードは公私ともに窮地に立たされていく……。

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 CIA誕生の裏側と歴史に翻弄される諜報員の半生に迫った「グッド・シェパード」で、監督・製作・出演の3役を務めたロバート・デニーロが、映画のプロモーションとしては9年ぶり7度目の来日を果たし、都内で会見を開いた。


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 「監督業は好き」と言うデ・ニーロだが、メガホンをとるのは「ブロンクス物語/愛につつまれた街」(93)以来、実に13年ぶり。長いブランクが空いたことについて「自分が興味を持てるテーマでなければ、監督を引き受けたくないんだ。監督というのは情熱を要する仕事だし、簡単には手が出せないものなんだよ」と説明した。

 重厚なストーリーはもちろん、マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、ウィリアム・ハート、アレック・ボールドウィンなど豪華キャストも注目されている本作。「映画作りで一番重要なのはキャスティング。プロであろうと、素人であろうと、俳優がキャラクターに合わなければ、映画は意味がない」と言い切る。

 では、マット・デイモンを主役に起用した理由とは?「実は3〜4人候補がいたんだ。最初はレオナルド・ディカプリオを考えていたんだけど、スケジュールの調整がつかなくてね。それでマットに声をかけたらすぐに引き受けてくれて。素晴らしい仕事をしてくれたし、ギャラも下げてくれたんだよ(笑)」。


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 撮影はCIAの協力を得て、30年間 CIAに在籍していた人間をアドバイザーに迎えたという。特にこだわったシーンについて聞かれると、「1年半も前にクランクアップしたから忘れてしまったよ」と苦笑いを浮かべつつ、「エドワードと苦楽をともにする部下レイ・ブロッコ(ジョン・タトゥーロ)の尋問シーンかな。2日で終えるはずが、結局4日もかかってしまったよ」と明かしてくれた。

 デ・ニーロといえば、「ゴッドファーザーPARTII」と「レイジング・ブル」で2度のオスカーに輝くハリウッドきっての個性派&大物俳優だが、俳優業と監督業、それぞれ苦労があるようで、「俳優は自分というものをさらけ出し、エモーショナルなシーンを繰り返し演じる必要があるから大変なんだ。そんな時、監督はイスに座って指導するだけ。でも、俳優は出番が終われば休暇が待っているからね。監督の仕事は撮影が終わってからも続くから、それぞれ一長一短だね」。


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 会見の最後には、「バベル」でアカデミー賞最優秀助演女優賞にノミネートされた菊池凛子さんが、サプライズゲストとして着物姿で登場。「『ブロンクス物語〜』も大好きな作品です。俳優としても、監督としても尊敬しています」と興奮気味に語る菊池は、本作についても「影と光を持った男たちの人生を描いた、素晴らしい作品」と絶賛した。

 今後、デ・ニーロ監督作品のオーディションがあったら? との質問に「もちろん、オーディションに行かせてもらいます」とアピール。それに対してデ・ニーロは「考えましょう。第2作を書いているから、もしかしたら不可能ではないかも」と笑顔で語った。

 なお「グッド・シェパード」は10月より日劇ほか全国で公開される。


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筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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