試乗コースを敢えてハードな登り坂に設定し、早速SRをスタートさせました。
美しく紅葉をはじめた林道に差しかかると、セルボSRは本領を発揮してくれました。なんと長い登り坂をすいすいと気持ちよくクルーズ……どころか加速(!)していくではないですか。
CVTはエンジンが高回転域に入ると、車内音が気になったりするのですが、このセルボSR、パワーにゆとりがあるので「うわわわ〜〜ん!」という唸りがクルマ中に響き渡ることなく、滑らかで静か。
ターボエンジンとは言いつつもスポーツカーのようにピーキーではなく、非常にマイルドなのも扱いやすく、それでいて物足りなさを感じることもない。タイトなコーナーに入っても、車体がふらつかず、きっちりとグリップをしたまま立ち上がっていくスポーティさには頼もしささえ感じてしまいました。
ここでいい仕事をしてくれるのはシートで、かかってくるGに対して体がブレないことにより、ステアリング操作に集中できるところがとてもよかった。車内空間もとっても広いので、この運動性能と併せて「ちょっと遠出しようかな」なんてときめきも与えてくれるでしょう。
メーターにはエコインジケータが付いていますが、このセルボSR、コンパクトボディにエンジンが高効率なのでとても燃費がいいのも特徴です。
ますます厳しくなるCO2規制や、化石燃料の枯渇問題が声高に叫ばれる今、環境負荷低減の観点から、世界的にコンパクトカーの価値が見直される時代がやってくる!! と私は強く信じていますが、日本のお家芸とも言えるこの「軽自動車車格」の利点は「普通に走っても燃費がイイ」に尽きると思います。
昨年発売されたセルボの功績は、この「普通に走ってもエコ」なこの軽自動車を、「ただやさしくカワイイだけのデザイン」ではない重厚感ある提案をしてくれたこと。
その証拠にこのセルボ、私の周囲では今まで軽自動車に見向きもしなかった中高年男性に非常に評価が高いのです。しかもラインアップにSRが加わったことにより、走りの面もがっちりカバーしてくれます。
でも……贅沢言うなら、キーレススタートシステムのエンジンスタートノブの形状を、もうちょっと高級感あるものに変えてもらえはしないでしょうか。
毎日触れ、エンジンに火を入れる「儀式」のためにも、見えない部分ではあるからこそ、上質にしてもらえたら……もっとときめくと思うのだけど。
近年ドラマチックによくなったスズキのデザインですが、これからも「とんがったモノ好きのためのデザイン」を提案し続けていただきたい。
成熟したオトコが粋に乗れる唯一の軽自動車、セルボSR。
「軽はちょっとね……」なんて言ってるようじゃ、モテない時代が来ちゃうかもしれませんよ。
今井優杏(イマイ ユウキ)
2006年にレースクイーンを引退し、レースを通じて知ったクルマの素晴らしさを伝えたい! とモータージャーナリストに転身。また、MCとしても、モータースポーツ関連イベントを中心に幅広く活動中。
愛車はFIAT・バルケッタ(赤)。ラテンのクルマを愛する情熱系。
クルマは所有も運転もJOIA(喜び)。もっと楽しみましょう!!
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