大人の街・赤坂。表通りは構えずに入れる店も多いが、一本裏道に入れば、敷居がぐんと高い店が鎮座する。そんな赤坂で安心して入ることができて、しかも舌の肥えた若旦那たちも満足という、お薦めの一軒をご紹介! |
赤坂見附駅寄り、変哲のない雑居ビルの地下に降りると和の空間が現れる。オープンして6年。老舗の蕎麦店の多い赤坂にあって新興の店ながら、気取らない店構えと、築地から仕入れる旬菜、お酒にこだわったお品書き、そして妥協せずに常に本物の味を求める店主の平川健一郎さんのスタンスが、舌の肥えた地元の人々の高い支持を得ている。常連客の中には、地元の老舗の名店の料理人も多いそう。 平川さんは、ホテル勤務のコックの経験を持つ。 「将来は洋食店を出すことを目標にしていました。けれどもある日、友人から薦められた店で蕎麦をいただいた時、シンプルな材料から作りあげられた奥深い味わいに感動し、蕎麦店に目標を変更したんです」 それからすぐに新橋の蕎麦店に修行に入ったという。多彩なメニュー構成や素材選びの確かな目には、前職の経験も生かされている。 「お客様からはよく、『ここは蕎麦屋というより、料理店のようだね』とお声をかけていただくことが多いのですが、もちろん、基本の蕎麦にもこだわっています。新そばは、港区ではおそらく当店が一番早くお出ししていると思いますし、人気の3色そばは、すべて産地を変えて打っているんですよ」 |
店名の「観世水」は、住職から薦められたという。また、ふらりと同店に訪れた能の観世流の関係者から贈られた扇が、店内の中央に飾られている。不思議な縁に感激した平川さんは、昨年オープンした別庵を「沙伽羅」と名付けた。竜宮城の水神の名前だそう。どことなく“赤坂”の空気を感じさせる逸話である。 |
写真奥から 飲んだあとのシメにも最適な「ゆず切り蕎麦」600円(1/2人前) 東京都港区赤坂3-12-22 竹下ビル |
赤坂の裏通りの突き当たり、通りがかりの一見客がふらりと入るには、ちょっと敷居の高そうなオーラを放っている「RESTAURANT BAR FOYER(ホワイエ)」。 創業32年の歴史を持つ同店は、日本のウイスキー研究の第一人者であり、モルトウイスキーのバイブルと呼ばれている『モルトウイスキー大全』著者の土屋守さんら愛好家が、日本にモルトウイスキーブームを巻き起こした基点となったダイニングバーである。置かれているモルトは約300種類! とはいえ、温かみのある雰囲気で、緊張はご無用。気になるプライスも、ワンショット1000円からと、意外にも財布に優しい。もともと「ダイニングバー ホワイエ」として親しまれてきたが、早い時間からも本格的なフランス料理を出す「レストランバー ホワイエ」として、リニューアルを控えている。 |
「この店構えですと、一見や酔客の方が入ってくることはまずないですね(笑)。落ち着いた雰囲気の中で安心できるものを提供し、お客様それぞれの楽しみ方で、気楽にくつろいでいただければと思っています。ウイスキー以外にも、日本酒と焼酎以外のアルコールは幅広く揃えております。夏には、ベルギービールなど、ビールも40種くらい登場いたしますよ」(店長・山内雄司さん) また、レストランバーとあって、本格的なフランス料理を提供できるのも、同店の自慢のひとつ。 カウンターで静かに飲みたい時、しっかりと食べたい時、また少人数のグループにも対応できる受け皿の広さ。赤坂でこんなバーを知っておけば、ちょっと通人の仲間入りができた気分になれるというものである。 |
「何か珍しいものを」とお願いしてみると、山内さんがチョイスしてくれたのは、シングルモルトのブラッドノック、コニャックのレオポルドグルメル、ロマネコンティに使われる葡萄で作られたというフィーヌブルゴーニュ(左から) 東京都港区赤坂2-14-12 赤坂第一井上ビル1階 |
赤坂の街を乃木坂方面へ歩くこと7〜8分。食後のほど良い夜の散歩といった距離を歩き、閑静な住宅街に建つ高級マンションの入り口にたどり着く。 看板もネームプレートもなく、はじめて来たなら、やや戸惑うに違いない。このマンションの中に、目指す隠れ家バー「UCHIYATEI 檜」があった。 |
インターホンを押すとロックが解除され、奥へ進むと、建物の中からバースタッフが現れて案内してくれる。いかにも秘密めいた雰囲気なのに、ドアを開けると広がる抜け感に驚かされる。 螺旋階段の眼下にはバースペースが。開放感があるメゾネットのつくりながらも、カウンターと、奥に個室が1室、ソファ席、2つのテーブル席ほどの、落ち着いて飲むことができるほど良い広さである。 乃木坂のイタリアン&フレンチ「UCHIYATEI」と姉妹店なのだそう。 |
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「こういうスタイルの店ですので、落ち着いた大人のお客様が多いです。くつろぎを重視していますので、アルコールの品揃えそう多くはないのですが、ハーブを漬けたウォッカとトマトジュースのブラッディメアリーなど、オリジナリティーにこだわっています。ぜひ、雰囲気を楽しんで頂けたらと思います」(マネージャー・上田善植さん) 当然、カップルでの来店が多いかと思いきや、男性個人や男性同士の方が圧倒的に多いのだそう。確かに、上田さんのほど良い距離感の接客は心地よく、ふとバーカウンターの上に目をやるとシガーの箱が。ほんとうの意味での“男の隠れ家”として、キープしておきたい一軒である。 |
港区赤坂9-1-23 クレース檜坂101 |
取材・文/似鳥陽子
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