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ウォルター・クライスラー氏が1925年に設立したクライスラー社は、そのたゆまざる技術革新への投資、企業の吸収合併・売却を繰り返し、絶頂と不振のはざまを行きつ戻りつする浮沈の激しい企業として知られている。創業後まもなく、ダッジ・ブラザーズ社を買収、GM、フォードと並ぶ「BIG3」として世界の自動車業界を席巻した。その後、第二次世界大戦、朝鮮戦争における戦争特需でさらに売り上げを伸ばしたクライスラー社は、1960年代にヨーロッパ系の自動車メーカーに次々と資本参加を行っていくが、これらの急激な事業拡大は大きな問題を引き起こし、1970年代後半には深刻な経営難に陥ってしまう。 しかし、1978年ライバル企業でもあるBIG3のフォード社からリー・アイアコッカ氏を社長に迎え入れ、業績はV字回復を遂げる。1987年に「ジープ」ブランドを擁するアメリカン・モーターズを買収するなど、安定した経営基盤を持続していった。 その後、1998年にドイツのダイムラー・ベンツ社と合併し、ダイムラー・クライスラー社が誕生、「世紀の合併」と報じられた。しかし、この合併はさまざまな事情から2007年5月に解消。クライスラー部門はアメリカの投資会社サーベラス社に売却され、現在はクライスラー・LLCとして、「クライスラー」・「ジープ」・「ダッジ」ブランドを世界に提供することになった。 |
クライスラーは3つのブランドを有しています。その中で一番認知されているのはイメージ的にわかりやすい「ジープ」ですね。オフロードのエキスパートであり、本物ですから。「クライスラー」はスタイルが魅力です。PTクルーザーのおかげでずいぶんいろいろな方に知られるようになりましたし、300Cも人気があります。「ダッジ」はパワー、そしてスタイルが非常にアグレッシブでユニークなブランドです。
日本の多くの方が「アメ車は環境に悪い、燃費が悪い」と思われていますが、決してそんなことはありません。日本では未導入ですが、ジープ・パトリオットのディーゼルモデルはヨーロッパでも高いレベルの燃費性能を持っていますし、アメリカでは今月から「クライスラー・アスペン」や「ダッジ・デュランゴ」にハイブリッドエンジンが搭載され始めています。 今回は、私たちが日本で販売している中からみなさんのライフスタイルにあった3モデルをご紹介したいと思います。 |
1960年生まれ。クライスラー日本株式会社代表取締役社長。クライスラー・クロスファイア、ダッジ・チャージャー SRT8、クライスラー・300C SRT8など、自社ブランドのクルマを乗り継ぐ。好きなタイプのクルマは「ハイパワーモデルと、スタイリングの面白さが感じられるもの。アメリカに戻ったときはオフロードドライビングもやりますね」。 |
クライスラーはミニバンの市場を開拓したことでも知られていますが、今年はそのミニバン「グランドボイジャー」の最新モデルが今年発売されました。家族や友達と一緒にどこにでも行ける、そしてシートのアレンジメント機能はもちろん、座り心地もいいですし、いろいろな状況を通して使える。ハンドリング性能もすごくいいですから、そういう面でクライスラーのイメージを具現化していると思います。
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ジープは「コマンダー」も「ラングラー」も好きですが、1台をピックアップするとなると、去年導入した「パトリオット」ですね。これにはびっくりしました。実際に乗るまでは「小さいジープ」がどれだけジープらしさを体現できるのか、と心配していましたが、オンロード、オフロードのコンビネーションが非常にバランス良く、燃費もいいモデルに仕上がりました。 |
ダッジからは、自分で乗っていたこともありますし、迷わず「チャージャー」をピックアップします。完全なアメリカンマッスルカーのイメージを持っていて、車体は大きいですが、それを補って余りある力がある。ハンドリングもいいし、プレミアムカーのような居心地もあります。チャージャーは非常にユニークなクルマですから、オーナーとしての喜びもきっと感じられるでしょう。 |
取材・文 松井 悠
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