中東の真珠・マスカットへの誘い特集 美しき古の都市(3/3 ページ)

» 2008年10月06日 09時30分 公開
[ITmedia]
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  • リゾート都市・マスカットで
伝統的アラブの文化に触れる
  • 世界一高級な香水の産地アムアージュの工房を訪ねる
  • 隠れ家ホテルでセレブ気分を味わう1日
アラビア海に沈む夕陽とコーランの響き 隠れ家ホテルでセレブ気分を味わう1日

 アラビア海に向かって張り出し、地形の変化に富んでいるオマーン。砂漠や渓谷、そして海にオアシスといった“美しい水”に恵まれた国である。アラブ屈指のリゾートとして、ビーチ沿いにはグランドハイアットや、インターコンチネンタル、シャングリアなど、高級リゾートが建ち並ぶ。とはいえ、美しいアラビア海とたわむれたくとも、海流が速く遊泳禁止の地域が多いことと、やはり回教国であるので、ビーチで遊ぶならプライベートビーチが無難である。

 そして、せっかくオマーンまで足を伸ばしたならば、インターナショナルな高級ホテルよりも、もっとアラブらしいホスピタリティで癒されたい――そんな人にピッタリなのが「ザ・チェディホテル・マスカット」だ。伝統的なオマーンスタイルで建てられた白亜の5つ星ホテルは、エントランスに入った瞬間から、そのシンメトリーなたたずまいに魅了される。

ザ・チェディホテル・マスカット

 腰にハンジャル(短剣)を差し、ディスターシャを着用したベルボーイたちに笑顔で迎えられ、気分が最高潮に盛り上がってのチェックイン。ロビーでミントとジンジャーの効いたウェルカムドリンクを頂きながらサインする。151室しかない部屋のほとんどのオーシャンビュールームは、バカンスのために訪れている長逗留のヨーロッパ人客で占められているそうで、館内には日本人の姿はほかに見られない。外からのゲストもほとんど姿は見えず、その静けさが、俗世間から隔絶されたプライベートリゾートホテルの様相を示している。

ウェルカムドリンク

 水をたたえた中庭を囲む回廊を抜けると、雑誌から切り抜いたような美しいバワ建築のプールが目の前に広がった。よく手入れされた芝の向こうにはプライベートビーチ。そして、海のすぐそばにもまたプールが。海面と同じ高さに作られたプールの端からは、どんどん水が外へ溢れ出している。水、水、水……砂漠の国では、ふんだんに使われる水こそが、豊かさの象徴であると実感。デッキチェアに寝そべっているのは、ほとんどが富裕層の白人。カクテルを頼むと、「午後2時以降にお出しします」と言われたことで、ここが中東だということを思い出す。

プライベートビーチ

 プールで泳いだあと浜辺でまどろんでいると、どこからともなくコーランが響いてきて空気をふるわせた。夕陽がアラビア海に沈むにつれて、白い砂が夜空と同じ色に覆われていく。

 空に星が瞬くころに、浜辺のレストランへ。海に面したオマーンは魚介料理も豊富で、味付けや香りはスパイシーだが、辛さは控えめ。日本人の口に合う料理である。イスラム国家ながらホテルのレストラン内ではお酒も楽しめる。とっぷりと夜が暮れると、通路と庭にかがり火がたかれた。波の音を聞き、揺れる炎を見つめながら飲むアルコール。もし大切な人と来ているならば、生涯心に残る一夜となるだろう。

浜辺のレストラン

 ゴージャスでアッパーな気分になるドバイとは打って変わって、癒しを感じ、アラビアンな旅情に浸るのがマスカットの旅である。「ザ・チェディホテル・マスカット」は、インターネットなどの設備では、他の外資系ホテルの利便性より劣るかもしれないが、非日常の世界にどっぷりと浸かって癒されるには最適。何もせずともここに宿泊するだけで、十二分にオマーンに来る価値があるリゾートホテルである。

The Chedi Hotel Muscat

取材・文/似鳥陽子



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