特集
» 2009年02月16日 10時00分 公開

特集 2009年アカデミー賞:昨年と一変“祭り”の予感 「どうなる? 2009年アカデミー賞」 (1/3)

鳥肌モノの傑作ぞろいだった一方で、正直言って地味だった2008年のアカデミー賞――しかし、今年は話題性に富んだ華やかな作品がノミネートされている。

[ITmedia]
  • 注目ノミネート作品 6作品ピックアップ
  • オスカーは誰の手に? 目が離せない「この人」
  • 華やかな一方、政治色も 2009年アカデミー賞の傾向
注目ノミネート作品 6作品ピックアップ

 映画界最大のお祭り、第81回アカデミー賞受賞式が、いよいよ2月23日(日本時間)に開催される。昨年のアカデミー賞と打って変わって、今年のノミネート作品は華やか。今回の特集では注目作品の紹介に加え、“注目の人物”“ノミネートから読み解く2009年アカデミー賞の傾向”をチェックする。

今年一番の華やかさ「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

 デビッド・フィンチャー監督&ブラッド・ピットの3度目のコンビ作で、今年のアカデミー賞最多13部門にノミネート。80代の老人の体で生まれ、年を重ねるごとに若返るという運命を背負った、主人公ベンジャミン・バトンの生と死が描かれる。まさに、ベンジャミンの“数奇な人生”を体感するような167分で、哀しく切ない冒頭のエピソードからグッと心をつかまれる。人生の奥深さに感動し、一期一会の大切さを再確認。特殊メイクとVFXが完璧なので、ストーリー抜きにしても楽しめます。ヒロインは、ブラピと「バベル」で共演済みのケイト・ブランシェット。華やかさでは今年一番。

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」01
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」02
INFORMATION

ノミネート:作品賞/監督賞/主演男優賞/助演女優賞/脚色賞/美術賞/撮影賞/衣装デザイン賞/編集賞
/メイクアップ賞/音楽賞/視覚効果賞/録音賞
配給:ワーナー・ブラザース(2009年2月7日より公開中)
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/benjaminbutton/

ノースター、しかし最高のエンタメ――「スラムドッグ$ミリオネア」

 ダニー・ボイル監督の復活作は9部門でノミネート。アジア最大のスラム街を抱えるインド・ムンバイで育った18歳の孤児が、日本でもお馴染みのクイズ番組「クイズ$ミリオネア」に挑戦し、億万長者のチャンスをつかむ。が、スラム育ちの青年が全問正解できるわけねーだろ、ってことで疑いをかけられてしまう……。

 全米では口コミ効果が高く、公開6週目にしてチャート8位に浮上。クイズの問題が青年の人生を映し出していく手法は興味深く、ノースターでもエンタメとしてメチャメチャ面白い! 期待値が高くても、それを軽く飛び越えて大満足間違いなし! アカデミー賞の前哨戦、ゴールデングローブ賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、作曲賞の4部門に輝いているので、オスカー受賞も可能性が高い。

「スラムドッグ$ミリオネア」01
「スラムドッグ$ミリオネア」02
INFORMATION

ノミネート:作品賞/監督賞/脚色賞/撮影賞/編集賞/歌曲賞/作曲賞/音響効果賞/音響編集賞
配給:ギャガ・コミュニケーションズ(2009年4月公開)
公式サイト:http://slumdog.gyao.jp/

世界的ベストセラー小説を映像化――「愛を読むひと」
「愛を読むひと」

 第2次大戦後のドイツ、母親ほど年の離れた謎の女性ハンナと恋に落ちた10代の少年ミヒャエル。2人は逢瀬を重ねるが、彼女が突然姿を消してしまう。その後、ナチスの過去を裁く法廷で、大学生となったミヒャエルは、ハンナと悲劇的な再会を果たす。

 監督は「リトル・ダンサー」「めぐりあう時間たち」のスティーヴン・ダルドリーで、本作を含めメガホンをとった3本すべてが監督賞にノミネートされている。キャストはケイト・ウィンスレット&レイフ・ファインズと演技派。原作「朗読者」は世界的ベストセラーの文芸作品と、賞獲りには完璧な布陣。

 ケイトはゴールデングローブ賞では「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」で主演女優賞に、「愛を読むひと」で助演女優賞に輝いた。が、アカデミー賞では、この作品で主演女優賞にノミネート。「レボリューショナリー〜」は完全に無視されている。いい映画だったのになぁ……。

INFORMATION

ノミネート:作品賞/監督賞/主演女優賞/脚色賞/撮影賞
配給:ショウゲート(2009年6月19日公開)
公式サイト:http://www.aiyomu.com/

歴史的トークバトルの裏側を描く「フロスト×ニクソン」

 ウォーターゲート事件で失脚、任期中に辞任した初のアメリカ大統領となったニクソン。高名なジャーナリストたちがインタビューを申し入れる中で、ニクソン側が選択したのはジャーナリストではなく、イギリス人トークショー司会者のフロストだった。政界復帰を狙うニクソンと、全米進出の野望を抱くフロスト。世界中が注目する中、4日間に渡る激闘が繰り広げられる。

「フロスト×ニクソン」

 歴史的テレビインタビューの裏側に迫った実録ドラマ。ロン・ハワード監督が、実話をベースにしたピーター・モーガンによる舞台劇の映画化に挑戦。2人の人生を賭けた戦いに固唾をのんで見守る122分。映画を支えるのは、主演男優賞にノミネートされたニクソン役のフランク・ランジェラ――ニクソンのしたたかさも哀しさも体現する演技に注目だ。舞台からの続投なので上手いのは当然だが、ブラピとは格が違う名演を見せる。個人的にはフランク・ランジェラにオスカーをあげたい。

INFORMATION

ノミネート:作品賞/監督賞/主演男優賞
配給:東宝東和(2009年3月公開)
公式サイト:http://www.frost-nixon.jp/

ショーン・ペン演ずる“マイノリティーの代弁者”――「ミルク」

 オスカー俳優のショーン・ペンが、実在のゲイの政治家を演じた話題作。監督は「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」「エレファント」のガス・ヴァン・サント。

 1970年代のサンフランシスコ。ゲイの社会的立場を少しでも良くしようと、ハーヴィー・ミルク(ペン)は自分がゲイであることをカミングアウトし、市政執行委員に立候補する。ミルクは3度続けて落選するも諦めず、1977年、ついに当選。当選からわずか1年で凶弾に倒れた怒涛の生涯から、人生最期の8年間に焦点を当てて、その人物像に迫る。

「ミルク」

 マイノリティーの権利と解放を主張し続けたミルク。アメリカでは、その姿が、大衆を動かしリーダー的存在になったオバマ大統領と重なると話題になった。ミルクに成りきったペンの演技は圧倒的で、すでにNY&LA批評家協会賞などの主演男優賞を受賞している。「フロスト×ニクソン」のフランク・ランジェラも捨て難いが、やはり本命はショーン・ペンか。

INFORMATION

ノミネート:作品賞/監督賞/主演男優賞/助演男優賞/脚本賞/編集賞/作曲賞/衣装デザイン賞
配給:ピックス(2009年G.W.公開)
公式サイト:http://milk-movie.jp/

酸欠必至なメリル×ホフマンの熱演――「ダウト〜あるカトリック学校で〜」

 トニー賞とピューリッツァー賞受賞の舞台劇を、作者ジョン・パトリック・シャンリィ自身が監督・脚本を手掛けて映画化。舞台は1964年、ニューヨークにあるカトリック系学校。厳格過ぎる校長兼シスター(メリル・ストリープ)は、物分りが良く生徒からも人気の高い神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)がどういうわけか気に入らない。やがて彼が学校初の黒人生徒と“不適切な関係”を持っているのではないか? と疑いをめぐらす。果たして真実は?

「ダウト〜あるカトリック学校で〜」

 オスカー常連のメリルとホフマンは今回も主演女優賞と助演男優賞にノミネート。2人のガチンコ対決は酸欠必至の白熱ぶり。他にも教師役のエイミー・アダムス、黒人生徒の母役ヴィオラ・デイヴィスが助演女優賞ノミネートされている。ズッシリくるので、体力があるときに。

INFORMATION

ノミネート:主演女優賞/助演男優賞/助演女優賞/脚色賞
配給:ディズニー(2009年3月7日公開)
公式サイト:http://www.movies.co.jp/doubt/

取材・文/本山由樹子



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