2020年には、電気自動車の比率を20%に――三菱自動車、「i-MiEV」を市場投入

» 2009年06月05日 21時15分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
三菱自動車の益子修社長。自身も2年近くi-MiEVに乗っているそう

 三菱自動車は6月5日、「i-MiEV」の市場投入を発表した※。7月下旬から法人ユーザーや自治体などを中心に販売を始め、2010年4月からは個人向けに本格販売を開始する。2009年度の販売台数は1400台、2010年度は5000台を見込む。価格は459万9000円※※。

 i-MiEVは、同社の軽自動車「i」をベースに、永久磁石式同期型モーターとリチウムイオン電池(参照記事)を搭載した電気自動車だ。電気だけで走るので、走行時にCO2など排ガスを出さない。「三菱自動車では、これまで40年かけて電気自動車を開発してきた。i-MiEVはその集大成。i-MiEVはクルマ社会の次の100年の扉を開くパイオニアになる」(益子修社長)

※市販化にあたり、車名表記を従来の「i MiEV」から、ハイフン付きの「i-MiEV」(アイ・ミーブ)に変更する。
※※経産省の「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」の対象車となっているため、上限139万円の補助金を受けることにより、約320万円で購入可能。
i-MiEV
独自のパワーメーター。アクセルを踏み込むほど針は右に動き、電力消費が増えていることを知らせる。「ECOゾーン」を保持して走行すれば、消費電力を押さえて走行距離が伸びる。アクセルを離せば針は左へ動き、「Chargeゾーン」に入ると回生エネルギーを使って充電が進んでいることが分かる

家庭用200V電源なら7時間で充電可能

 i-MiEVの主な特徴は3つある。1つは、走行中はCO2を排出しないこと。三菱自動車では、発電時のCO2を含めても、iの約3分の1のCO2排出量と試算している。

 2つめは、100%電気で走ることだ。充電方法は3通り。AC200Vの一般電源では満充電まで約7時間、AC100Vの一般電源だと約14時間かかる。今後、ショッピングセンターやコインパークなどに設置が進むと見られる急速充電器を使った急速充電の場合、約30分で80%の充電が行える。1回の満充電で走行できる距離は、10・15モードで160キロメートル。「街乗り用として日常的に走る分には十分な走行距離」(同社)

 3つめは、走行時も非常に静かであること。電気自動車はエンジンを搭載しないため、走行時も非常に静粛性が高い。また、低速から高いトルクを発生する電気モーターの特性を生かし、電気自動車ならではの独特な加速をする(参照記事)。「最大トルクに注目してください。iのターボエンジン車よりもレスポンスが良く、力強く走れます」(同社担当者)

座席の下に電池が、モーターやインバーターは後ろに入っている(左)。トランクルームの下(中)。人が乗るスペースや荷物を積み込むスペースは「i」と変わらず確保されている(右)

セレクターレバーを「ECOポジション」にすると、電力消費を抑えて走行できる(左)。最大トルクに注目。ターボエンジン搭載の「i」よりもレスポンスよく、低回転から力強い走りをするという(中、右)

 三菱自動車では2020年までに、総生産台数の20%以上を電気自動車やハイブリッド車にすることを目指す。今後は、i-MiEV以外にも街乗り用の電気自動車や、より長距離移動に適したプラグインハイブリッド車を開発・販売していく計画。なおi-MiEVの海外展開も予定しており、2009年は英国など右ハンドル市場を中心に約250台、2010年度以降は左ハンドル車を追加投入するという。

三菱自動車は電気自動車に取り組んで40年になる(左)。鉛電池を使っていたころは、車両重量の半分を電池が占めていた。i-MiEVではリチウムイオン電池を採用することにより、車両重量の20%以下に抑えることができた(右)

本体左側面には、急速充電用の口がある(左)。普通充電(家庭で充電する場合など)は右側面から。写真は普通充電用の差し込み口(右)

急速充電器はショッピングセンターやコインパーキング、コンビニ、ガソリンスタンドなどで少しずつ設置が進んでいる(左)。ボディカラーはツートンカラーが5種、モノトーンカラーが3種(右)

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