セレブの大好物 〜プレミアムSAV「BMW NEW X5」:+D Style モテるクルマの選び方
ここ何年か、プレミアムSUVと呼ばれるクラスのクルマが伸びを見せています。そして今最も盛り上がっているのが「クロスオーバーSUV」。今回の“モテ車”は、そんなクロスオーバーSUVの先駆け、BMWの新X5を紹介。
私の実家は奈良県の山岳部。
いわゆる都市部でのマーケティングやデータがまったく通用しない、陸の孤島です。
ユーザーにもその図式は見事に当てはまり、都内で見かけるような輸入車はほぼ皆無。軽も小型も大型も、なぜかオール国産車。たまに輸入車を見かけても、100%の確率で観光客の他府県ナンバーです。
この国産車信仰とも思えるところのイナカモノ・消費者心理、今や東京のシティ・ガールに脱皮した私にはよくわからないのですが(スミマセン、自分比です……)、多分「輸入車は高い!」「悪目立ちする(イナカって、都会よりも体面を気にします)」「燃費が悪い」的な古代的価値観から来るものだと推測されます。
しかしそんな陸の孤島ですら、自動車の流行の流れを実感することができました。
「ミニバンが減って、SUVが増えてる!!」
ここ何年か、SUV、しかもプレミアムSUVと呼ばれるクラスのクルマの販売数が、ミニバンよりも伸びを見せてきています。
スタイリッシュで躍動感があるカーデザインに加えて、レジャーでのオフロード走行・タウンユースでのオンロード走行、さらに多人数での移動や荷室の広さから、あらゆるシーンをも万能にこなすSUVは、まさに時代の気分にぴったりとマッチしたのでしょう。
さらにこのSUVは進化していて、今最も盛り上がっているのが「クロスオーバーSUV」。
歴史上車高の高いクルマを作って来なかったボルボ・ポルシェ・アウディなどが、スポーツカーやステーションワゴン、ミニバンとクロスオーバーし、より運動性能の高い、より美しいSUVを生み出しています。
そのクロスオーバーの先駆けともいえるのがBMWのX5。1999年に発売以来、累計販売台数はなんと58万台を越えます。
BMWは従来のRV車やSUVとは異なり、スポーティセダンとSUVの中間に位置するクルマとして、SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)というカテゴリーを確立しました。
そのX5がなんと7年ぶりにフルモデルチェンジ。すでに(2007年6月21日)からデリバリーが始まっています。
試乗会は大雨の中、山梨にて行われました。
まず先代よりひとまわり大きくなったボディサイズに、押してくるような迫力を感じます。そのフェイスは野生のネコ科の猛獣のよう……。相当ワイルドでありながらも、躍動感の中にしなやかさやしっとりとした色気すら。上品さを忘れないこの味付けはさすがBMW。
ボディサイズの拡張に伴って、室内空間も拡張されています。床下収納が可能なBMW初の3列目シートも、この恩恵。
それだけではなく、世界中で売れに売れたX5なだけに、最新機能がふんだんに盛り込まれ、ほんとうに「気合の入ったモデルチェンジ!!」を実感させます。内装グレード感が上がり、HDDナビ、レザーシート、アクティブステアリングを標準装備。
先代同様駆動系には「xDrive」を採用し、駆動性能とハンドリング性能を確保。新デザインの電子制御式AT・セレクターレバーでマニュアル・シフトがより操作しやすくなっています。
FlexRay搭載のアダプティブ・ドライブという、クルマの動きを制御する新機構はなんと世界初採用。これによってコーナリングでのボディロールを適正化、乗員が快適さを瞬時にキープするというもの。
また、SAVには初めて、パンクしてもホイールが抜けずに走行が可能な「ランフラットタイヤ」を標準装備しています。まさに、最新技術の宝庫!!
このニューX5には、2グレードが用意されています。X5 3.0siは直列6気筒DOHCエンジンを搭載。X5 4.8iはV型8気筒DOHCエンジンを搭載。幸いにも、両グレードを試乗させていただくことができました。
X5 3.0siは、巨体に似合わず、なめらかな加速、柔らかいハンドリングが楽しめます。これはアクティブステアリングの働きも大きい。慣れるまでは少し戸惑いますが、少しの舵角でコーナリングができるので、操作がラクで非常にストレスフリー。街乗り中心に使われるユーザーには、充分すぎるほどの性能です。
X5 4.8iはもうもう、圧巻の直線番長。踏めばグン!! と加速するこの感じはまさにV8ならではの迫力です。あっという間に制限速度に達し、坂道でもモタモタしないこのパワーは自分の性格まで「オラオラ!!」と、太っ腹に変わってしまいそうでした。
ただ、燃費の面ではいささかこの4.8iに疑問が生じます。その店では直6の3.5siに軍配が上がるかな。
さて、この試乗会を終え、特に驚いたことが「双方の味付けがまったく違う」ことでした。まるで違うクルマのような乗り味。
3.0iは4.8siの廉価版ではなく、わざと違う味付けをしたのだそう。X5のなかでも、自分に合ったX5を選べるように。
このX5、車高が高いので視界がよいのは当たり前ですが、見切りがいいのがとても嬉しかった。また、車体のフロントのお鼻の部分・オーバーハングが短いので、意外と小回りも利いたりします。この扱いやすさから、アメリカでは女性オーナー率が非常に高いのもうなずけます。
ただ、やはりSAV。
このクラスのクルマに日本でカッコよく乗ろうと思ったら、それなりの運転技術とお財布が必要だな、なんて思ってしまった。山梨で運転させていただいたことで、このクルマの伸びやかなところばかりを実感させていただきましたが、いざこれが都市部での運転となると……難しいぞ。
標準でHDDナビを備えたiDrive。この画面にて、電話番号の入力、ナビ、AV、エアコンなどを操作できます。これによってセンターコンソールのごちゃごちゃ感がなくなりました。しかしこのiDrive、使いこなすのは練習が必要
まずこのクラスの車体が入る駐車場を所有してること。「そんなの当然ジャン!! 車庫証明取れないと買えないモン」なんて言わないで、ちょっと待って。お出かけの際、都内ではこのサイズのクルマは入れない駐車場も存在します。
あと、大事なのは車幅感覚。
巨大な車体は細い道で対面通行するときや、幅寄せするときにモタつくのがいちばんカッコ悪い。車庫入れなんて言わずもがな。
しかもクルマが大きいとね、そのドンくさい運転、結構目立つんだな。自分の手足のように、そのクルマを扱えるようになるのが運転だとすれば、このでっかい手足は本当に運転のウマイ人用と言えそう。
世の中には、「大きい車こそ、視界がいいから女性にも運転の得意じゃない男性にもオススメ☆」なんて書いてる記事をたまに見かけますが、「運転に自信のない人は、大きいクルマに乗っちゃダメ!!」と、声を大にして言いたい。これホントよ。
最近はクルマのほうが考えてくれたり調整してくれたり、と勝手によくなってるけど、それに甘えることなく運転技術をブラッシュアップすることが、カッコイイSUV・SAV乗りになる秘訣だと、ここに断言します!
あと、多少のガソリン代にグチらない、心の広さもね。
筆者プロフィール
今井優杏(イマイ ユウキ)
2006年にレースクイーンを引退し、レースを通じて知ったクルマの素晴らしさを伝えたい! とモータージャーナリストに転身。また、MCとしても、モータースポーツ関連イベントを中心に幅広く活動中。
愛車はFIAT・バルケッタ(赤)。ラテンのクルマを愛する情熱系。
クルマは所有も運転もJOIA(喜び)。もっと楽しみましょう!!
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