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» 2004年06月03日 13時44分 公開

Interview:VMwareが国内でサーバソリューションへと注力、ITFと販売提携

パーソナルからエンタープライズまで、VMwareを使用している層は幅広い。歴史あるこの仮想化環境実現を行うエミュレーションソフトは、ブレードサーバとの共存でサーバ統合をより高密度化させる。

[木田佳克,ITmedia]

 Intelアーキテクチャの仮想化を実現するソフトウェア「VMware」。シリーズには、デスクトップ向けの「VMware Workstation」(以下、Workstation)を始め、小中規模サーバ向けの「VMware GSX Server」(以下、GSX Server)、より大規模なデータセンター向けの「VMware ESX Server」(以下、ESX Server)、「VirtualCenter」と全4製品がある。

 WorkstationとGSX Serverは、ホストOS(Linux、およびWindows)上で動作するアプリケーションであり、ゲストOSをエミュレーションして仮想化環境を作り出す。Workstationが1PC上でのライセンスに対し、GSXはサーバサポートの複数稼働ライセンスとなっている。一方、ESX Serverは、VMware自体がホストOSを包括する役目を担い、ハードウェアにプリインストールをして出荷提供される製品。仮想化環境上の各種リソースをより厳密に制御可能な特徴を持つ。

VirtualCenterはESX Serverのオプション製品。複数のESX Server稼働環境での操作面も統合可能だ

 米VMwareの日本法人「ヴイエムウェア」は、6月3日にアイ・ティ・フロンティアとの代理店契約を発表し、国内におけるサーバ統合ソリューション拡充を表明している。VMwareの最新動向を知るべく、ヴイエムウェア、代表取締役兼アジアパシフィック部のレノックス・ジム氏にインタビューを行った。

米VMwareの日本法人、ヴイエムウェア代表取締役のレノックス・ジム氏

サーバ統合の選択肢として仮想化実現が周知されてきた

ITmedia VMware自体が登場してから5年ほど経ちます。仮想化アーキテクチャをビジネスとしていますが、取り巻く業界の変化をどのように感じていますか。

ジム VMwareは1999年に登場しました。そして、サーバ用途への拡充を行ったわけですが、VMware自社でのトレンドとしては、デスクトップ製品(Workstaion)からよりハイエンドな製品(Serverシリーズ)への需要シフトが挙げられます。これまでにデスクトップ製品を使用していた企業でも、より効率化を要求しサーバ製品へと乗り換えるケースがあります。そして現在、我が社の売り上げのほとんどはサーバ製品で占められています。

 業界全体として見ての動きですが、5年前はIT業界で仮想化環境というカテゴリーがほとんど周知されていませんでした。それが、最近のガートナーレポートにもあるように、企業におけるサーバ統合への関心には、仮想化環境というキーワードが根強くあり注目度が高まっています。IT業界全体で確立されてきたといえます。

ブレードサーバとの相乗でより高密度化を実現する

ITmedia VMwareのサーバプロダクトは、ソフトウェア版ブレードサーバのように思えます。しかし、VMwareからは特にブレードというキーワードが聞かれません。今後はどうでしょうか。

ジム ちょうど来週6月の2週には、韓国でIBMによるブレードに関するイベントが開催されます。その講演の席でVMwareにおけるブレード戦略を発表する予定です。ポイントとなるのは、サーバ統合をするためには、従来のようにブレードサーバへの投資だけが選択肢ではないという点です。

 しかしブレードサーバとの共存も効果的と考えています。例えば、講演で発表するプレゼンの中でIBMのブレードサーバを例に挙げますが、14枚のブレードサーバ環境でVMware(ESX Server)を採用すればそれぞれのブレード上で10ずつの仮想化環境を実現することが可能です。より使用効率(使用密度)を高められるわけです。また、これまでは1CPUによるライセンス形態が主体でしたが、ブレード専用のライセンスも用意します。

 さらに、サーバ製品のひとつVirtualCenterをESX Serverと組み合わせると、この例では14枚のブレード環境で14のコンソール画面それぞれを操作するのではなく、1つの管理画面で統合操作することが可能です(関連記事)。これらをVMwareではスケールアウト戦略と呼んでいます。

 VirtualCenterについての補足ですが、Workstationでいうバーチャルディスク(仮想化環境)を、ESX Server間では仮想化環境を停止させることなく移動可能です。これはホットマイグレーションと呼ぶ「VMotion」機能ですが、リアルなサーバの負荷を分散させたい時など、とても効果的な機能でしょう。この製品の大きなポイントです。

ITmedia GSX Serverは、Workstationが幾つも起動させてゲストOSを実現するのに対し、すべてのゲストOSを管理する機能が備わっているという理解でよいでしょうか。

ジム まず最初に、WorkstationとGSX Serverはライセンス形態が異なります。Workstationは1台のPCで1アプリケーション、GSX Serverでは1PCで複数ライセンスです。そして、言われるように管理機能を搭載している点がポイントです。

 GSX Serverの費用対効果についても説明します。国内銀行での事例ですが、GSX Serverの選択は2つのサーバを統合するという目的で導入されたそうです。これで十分にメリットが得られていると聞きます。2つの環境のメンテは必要になりますが、それでもハードウェアの保守コストが軽減されるため、コスト削減が可能なわけです。

 そして、ホストOS上でゲストOSを実現するという技術には、数百万行程度のコードで書かれたOS上でエミュレーションすることからパフォーマンスを確保しづらい面が残るのも事実です。ESX Serverであれば、数十万行のよりコンパクトなソフトウェアであるため、高パフォーマンス実現とコントロールしやすい仮想化環境の実現が容易というわけです。

ITmedia セキュリティの観点から見れば、ハニーポッドとしてゲストOSを運用するというアプローチもあると思います。現在のサーバプロダクトのキーワードとして含まれていませんが、どのように捉えていますか。

ジム VMwareでもセキュリティというキーワードをとても重要視しています。ハニーポットとしての利用形態は、米国VMwareのCEOからも挙げられている今後の製品目標のひとつです。そして、具体的な開発も進められています。製品ロードマップからは今後、デスクトップ製品のWorkstationからセキュリティに関する機能を搭載していく予定です。残念ながらいま具体的に挙げることはできません。

 また、ハニーポットと関連する米国政府機関での事例ですが、機密情報を持たせる仮想化環境とワールドな閲覧環境とで、ネットワークアドレスを分けて利用していると聞いたことがあります。

ITmedia WorkstationとGSX ServerにはWindows版とLinux版がありますが、出荷割合はどのようになっていますか。

ジム 具体的な数値は出せませんが、シェアとしてはWindows版がほとんどです。そしてホストがWindows、ゲストもWindowsというケースが多いです。しかし、このような状況であるからといってLinux版のエンジニアリソースを減らすということはまったくありません。年に3、4回程度、Linuxディストリビューションの大きな変化があると思いますが、常に追従する開発を続けています。

Windows XP上で手軽に利用できるVMware Workstation。ノートPCでよく使われるメモリ状況をディスクに保存するハイバネーション(休止)もVMware上で可能

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