ASP.NETは、WebアプリケーションやXML Webサービスを構築するためのクラスライブラリだ。ASP.NETは、Windows 2000 ServerやWindows Server 2003上で動作するWebサーバ「IIS」(Internet Information Services)と連携機能する(図6)。
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Webアプリケーションでは、入力フォームを使ってユーザーからデータを受け取ったり、出力をHTML形式で返したりする必要がある。従来のWebアプリケーションでは、入力データをひとつひとつ取り出したり、出力するHTMLデータを構築することまでが開発者に強いられた。
しかしASP.NET環境では、それぞれのWebページを「Webフォーム」と呼ばれる仕組みを使って構成する。Webフォームには、「サーバーコントロール」と呼ばれるコントロールを貼り付けることができ、ユーザーからの入力やユーザーへの出力を完全にサーバコントロールに任せることができる。たとえて言うならば、Visual BasicでWindowsアプリケーションを開発するかのように、「テキストボックスやボタンをWebページに貼り付けてユーザーインタフェースを作る」というGUI開発が可能となっている。
またXML Webサービスを構築する場合には、送受信するデータをSOAP形式に変換する必要があるが、ASP.NETでは、SOAP形式の相互変換は自動的に処理してくれる。また、WSDLファイルも自動的に生成される。そのため、開発者は、XML WebサービスやSOAPの仕様の詳細を知らなくても、簡単にXML Webサービスを構築できる。
.NETは、データを中心としたソリューションであることから、アプリケーションから柔軟なデータ操作ができなければならない。そこで、.NET Frameworkでは、データベースアクセスのために「ADO.NET」というクラスライブラリが用意されている。
このADO.NETは、SQL ServerやOracleデータベースなどのデータベース製品に接続し、データベースのデータを読み書きするという基本的な機能もあるが、それだけでなく、XML形式データを扱いやすい工夫がある。
ADO.NETでは、「DataSetオブジェクト」と呼ばれるオブジェクトを使ってデータを表現する。DataSetオブジェクトは、データベースのテーブルをメモリ上に表現したオブジェクトである。データベースにアクセスする場合には、データベースに接続したまま操作する「接続型データアクセス」と、データベースから切り離して操作する「非接続型データアクセス」の2通りがある。.NET対応アプリケーションで役立つのは、非接続型データアクセスだ。
非接続型データアクセスでは、データベースに接続して、条件に合致したデータをDataSetオブジェクトとして取り出す。そして、データを書き換える時には、DataSetオブジェクトを書き換えて、あとでデータベースに書き戻す。DataSetオブジェクトに保存されているデータは、XML形式データに書き出すことができるほか、XML形式データからDataSetオブジェクトを作ることもできる。そのため、XML Webサービスを構築する際にDataSetオブジェクトを使えば、データベースのデータを簡単にXMLデータとしてやり取りができる(図7)。
.NET Frameworkには、Windowsアプリケーションを構築するために、「Windowsフォーム」(Windows Form)と呼ぶクラスライブラリが提供されている。
Windowsフォームは、WindowsのWin32 APIをラップし、.NET Frameworkから利用できるようにしたものだ。Windowsフォームは、基本的に、Windowsのウィンドウやダイアログボックス、メニューなどを提供するものだが、それ以外に、次のような機能も提供される。
1. 印刷機能やプレビュー
印刷機能やプレビュー機能は、Windowsフォームとして提供される。そのため、印刷やプレビュー機能を備えるアプリケーションを簡単に作れるようになった。
2. GDI+に対応した描画機能
Windowsには、GDI+と呼ぶAPIがある。GDI+は、直線や曲線を描画するほか、画像を拡大縮小変形表示したり、文字のアウトラインをとったり、グラデーションで塗りつぶしたり、透明化したりできるなど、豊富なグラフィック機能を提供するものだ。.NET Frameworkでは、GDI+の機能を最大限に活かしたアプリケーションを構築できる。
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