来場者を対象にした大規模ICタグ実験をN+I Tokyoで実施

今回のNetWorld+Interop 2004 Tokyoの会場で、10万人以上の来場者を対象にした無線ICタグの実証実験が行われている。

» 2004年07月01日 08時50分 公開
[ITmedia]

 NetWorld+Interop 2004 Tokyoの入退場管理では、従来より用いられてきたバーコードに加え、今年は無線ICタグが利用されている。

 これはAuto-ID ラボ・ジャパンと、展示会を主催するメディアライブ・ジャパンによる実証実験という位置付けで、展示会最終日の7月2日まで行われるもの。過去にも「NETWORKERS」などのイベントで、数千人単位で実証実験が行われたことがあったが、10万人超という規模で無線ICタグを運用するのは今回が初めてという。

 入場者にはバッジとともに、名刺大の無線ICタグ「IC Chip PASSPORT」が配布される。入場時にはバーコードで情報を読み取るとともに、同一の情報をICタグに書き込み、それをゲート型のリーダーで読み取るという流れだ。同じ情報をバーコードとICタグの両方で扱うことにより、ICタグの信頼性を検証する。

IC Chip PASSPORT 来場者バッジとともに配布されるIC Chip PASSPORT

 このICタグの用途としては、会場のインフラとなっているShowNetの重要ポイントをスタンプラリー形式で周る「ShowNetセルフツアー」がある。また、ICタグを「投票券」として用い、来場者が気に入った展示にBest of Show Awardの「ShowNet Demonstration Award」へ投票するといった実験も行われる。

 問題は、ICタグで情報をトレースされたくないと考えるユーザーへの対応だ。説明の席上、Auto-IDラボ・ジャパンの所長を務める村井純氏は、プライバシーの観点から「勝手に情報を取られないよう、またユーザーが拒否できるようにしておくことが大事」と述べ、今回の実験は、総務省および経済産業省がまとめたICタグのプライバシーに関するガイドラインに準拠した形で行われていると説明した。ユーザーへの説明責任を果たす上で、ICタグリーダの設置場所にはその旨を告知するほか、ICタグ内の情報を消去し、無効化する方法も用意しているという。

 今回の実験結果は、8月末をめどにホワイトペーパーとしてまとめられる予定だ。それも、技術面でのまとめに加え、プライバシー面からの検証が行われるという。

 なお、今回利用されるICタグは、13.56MHzの周波数帯を利用しているが、将来的にはより広い範囲での読み取りが可能な仕様が登場する可能性もある。そうなったときに備え、「距離に応じた告知を行うなど、ユーザーからのフィードバックを取り入れながら仕組みを作り上げて生きたい」(村井氏)。

説明会 実証実験の説明に当たった村井氏とAuto-IDラボ ジャパン副所長の中村修氏

 メディアライブ・ジャパンでは、来場者の動線分析のほか、名刺交換や資料請求にICタグを利用するといったアプリケーションも想定しており、実験の結果次第では、来年のN+Iではバーコードをやめ、ICタグのみで入場管理を行う可能性もあるという。

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