MS、パートナー向け予算を拡大、サービスも拡充

Microsoftはパートナーへの投資額を17億ドルに拡大するとともに、ツールや専門家の提供といったサービスパッケージも刷新、サービス販売対象を小規模な企業にまで拡大した。(IDG)

» 2004年07月12日 18時01分 公開
[IDG Japan]
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 Microsoftは今会計年度(来年6月末締め)のパートナーへの投資額を2億ドル増やして17億ドルとし、共同マーケティングキャンペーンの費用も拡大する。同社が7月11日に発表した。

 さらに、同社はシステムインテグレータ、リセラー、独立系ソフトベンダー(ISV)のニーズにもっと適切に合わせるために、パートナー向けサービスパッケージを改善し、拡大すると、カナダのトロントで開催の第2回Worldwide Partner Conferenceの開幕に当たって明らかにした。

 拡大された分の予算は、Microsoftがパートナーのサポートを改善するために使われる。同社の計画には、見込み顧客への共同デモなどでパートナーを支援できる専門家をもっと現場に派遣することなどが含まれると、同社のパートナーセールス・マーケティング担当ジェネラルマネジャー、ドン・ネルソン氏は話している。

 「これはパートナーに本質的価値を提供するための継続的投資だ」と同氏。

 すべてのMicrosoftパートナーがこの予算拡大の恩恵を受けるが、Microsoft Business Solutions(MBS)部門の製品を販売するパートナーへの配分はほかのパートナーよりも多少大きくなるとネルソン氏。ただし同氏は、予算の分配方法については詳細を明かしていない。MSB部門はエンタープライズリソースプランニング(ERP)製品を手がけている。

 パートナー向け予算拡大のほか、Microsoftは関連会社に、ダイレクトマーケティング用の予算の35%をパートナーとの共同マーケティングに配分し直すよう指示した。これは一部のMicrosoft関連会社、特に欧州支社にとっては大きな変化だが、米国などほかの地域ではそうではないとネルソン氏。

 パートナー各社は、こうしたマーケティング予算の再配分は、パートナーがマーケティング費用を引き出せる資金プールを確立するためのものだと考えてはいけないと同氏は主張する。

 「パートナーのために当社が小切手を切るというわけではない。これはパートナーとの協調的取り組みだ。Microsoftが見込み顧客にダイレクトメールを送るよりも、パートナーも初めから参加するよう、共同で送るのだ」(同氏)

 Microsoftは自社製品のほとんどをパートナーを介して販売している。同社のパートナープログラムの加入者は世界で約80万社、うちおよそ4万社はえり抜きの「Certified」「Gold Certified」レベルだという。

 Microsoftのようにパートナー中心の企業が投資額を増やすのは意外なことではないと、Gartnerの調査担当責任者マイケル・ヘインズ氏は語る。パートナーにとっては十分な資金が注ぎ込まれることが重要だ、とも。

 「この多額の投資がフィールドリソースに使われるということは本当に重要だ。これは販売パートナーが求めていることの1つだ」とヘインズ氏。またパートナーは共同マーケティングの機会も熱心に求めているという。

 11日に発表された刷新版のサービスは、ISV、システムインテグレータ、リセラーを含むあらゆる規模のパートナーに提供される。Microsoftは、パートナーが同社のプラットフォームを基盤とする製品を開発したり、同社製品を実装・サポートするのを支援するため、自社の専門家とツールを利用できるようにする。こうしたサービスは「Microsoft Services Partner Advantage Standard」「Microsoft Services Partner Advantage Plus」の2つのプランの形で提供される。

 Microsoftはこれまでもパートナー向けサービスを提供してきたが、こうしたサービスは主にグローバルパートナー向けに販売されていたと、Microsoftのプロダクトマネジャー、トーマス・ドーキンス氏。「これまでは比較的小規模なパートナーにサービスを販売できなかった。だから今それをやろうとしている」

 パートナー各社は顧客と協業する際に、Microsoftのサービスを自身で利用したり、Microsoftと下請け契約を結ぶこともできる。「これがシステムインテグレータやISVの資産になると期待している」とドーキンス氏。

 Microsoftは、パートナーの専門知識を補えるよう、サービスパッケージをうまく改善したようだとGartnerのヘインズ氏。

 「多くのパートナーは独自の慣行とサービスを持っているが、顧客が追加のサービスを求めることもあるだろう。パートナーはその取引をやめることもできるし、実際には下請け業者としてMicrosoftのサービスを提供しつつ、サービスの管理を行うということもできる」(同氏)

 MicrosoftのWorldwide Partner Conferenceは13日まで開かれる。

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