ユビキタスはあらゆる所にビジネスチャンスが生まれる

HITACHI-ITコンベンション 2004講演で、ビジネスの在り方を再考し、情報化社会に備えなければならない、とユビキタスプラットフォームグループソリューション統括本部の石井氏。

» 2004年07月22日 21時48分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 東京国際フォーラムで日立製作所主催の「HITACHI-ITコンベンション 2004」開幕の初日(23日まで開催)、日立製作所ユビキタスプラットフォームグループソリューション統括本部、事業戦略本部の石井厚廣氏から、テーマ「ユビキタススポット活用の新ビジネススタイル」が講演された。

日立製作所ユビキタスプラットフォームグループソリューション統括本部、事業戦略本部の石井厚廣氏

 「ユビキタス情報社会で何が可能となるのか。ビジネススタイルは、新たなプラットフォームによる展開を迎えようとしている」と石井氏。この講演では、ユビキタスをキーワードとし、ビジネスへと結びつけるべく、チャンスに期待する来場者が集った。

ユビキタス情報社会ではあらゆる所にビジネスチャンスが生まれる

 石井氏は、日常へ入り込む情報管理ソリューションの具体化について、背景として、企業だけでなく一般家庭でもブロードバンド利用が当たり前となったことを挙げる。昨今、47〜48%の世帯がブロードバンドインフラに加入し、ネット人口は約6700万人、約2200万人が家庭からアクセスしていると具体値で示す。また、「ユビキタスというものは、個々の情報がつながっていくもの。生活の中のコミュニティをつなげ、どこもがビジネスの現場となるのがユビキタススポットだ」と石井氏。

ユビキタス社会におけるビジネスの在り方

 情報を操作し「企業に対し集客数を増やすことを目的とするものだ」と言い、石井氏は、自らの企業でユビキタススポットを作り出していくことが必要と語る。この際に重要なのは、ビジネスの拡大によって企業の成長に伴う収益アップ、その根底となる商品力向上がキーとなり、収益を上げるためには、効率を上げることこそがポイントだと言及する。

 さらに、現代では企業イメージを高めることが不可欠であり、同じスペックの製品であれば、顧客は企業イメージで選択することが多いと分析する。また、社会貢献活動などにも企業イメージが関連すると言い、日立製作所の事例として「伝の心」と呼ばれる意思伝達装置を挙げた。ITは、障害者に対しても有効であり、伝の心では、例として人の頬の動きでPCが操作できるインタフェースを持つことがプレゼンの映像で示され、文字入力やインターネットアクセスなどが可能な製品と紹介した。

広告宣伝も効果的なイメージ作りとなる

 石井氏は、顧客を増やすという側面として、広告宣伝効果を挙げて大型ディスプレイを店頭に置くことで、来店客に対し明るいイメージを見せる事例も挙げた。

 ほかにも顧客にゆとりを提供すべく、最新情報の提供はいっそう重要視されていくと語る。

 事例として、鉄道の発着時刻表示を行う電光掲示板の設置、病院における待ち受け番号表示、空港におけるフライトスケジュールの電光掲示などを挙げ、すべては利用者への情報提供として、昨今不可欠な物として認知されているものと挙げる。このような最新情報の提供は、ユビキタス社会では不可欠なものだと言及する。

ビジネススタイルの変化、オフィスにも進化形が求められる

 セキュリティに対しては、日立はシンクライアントに対し積極的な開発を進めていると語る。情報自体をクライアントに保存しない優位性を示した。

 日立製作所の社内におけるオフィス環境事例も紹介された。

 同社の「ユビキタスワークスタイル」は、社員の人数分の机を設けず、共有スペースを用意し、出社した順に席に着くというもの。私物はロッカーに入れ、常に共有スペース上は真っ新な状態にしておくという。このメリットは、柔軟に業務の拡大縮小などが可能となり、臨機応変に追従できる点だろう。

 ただし、欠点としては出勤状態がひと目で分かりづらい点だというが、グループウェアを利用したり、内線機能付きPHSを利用することで回避しているという。

 また、セキュリティに関わる点として、同社では共有プリンタにもひと工夫をしている。プリンタにデータがスプールされ印刷状態になっても、各人のIDとパスワードを入力しなければ出力されない機器導入をしている。不用意な印刷物放置は情報漏洩に結びつくとの配慮だ。

 来たるユビキタス社会に対し、ビジネススタイルの変化も求められている、との見解が石井氏講演のポイントとなった。

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