Red Hat CEO、米国はオープンソースで立ち遅れると警鐘

LinuxWorld Conference & Expoが開幕した。基調講演に立ったRed Hatのマシュー・ズーリックCEOは、オープンソースに対する米国の姿勢が原因で、卓越したIT供給国としての米国の立場は揺らぎかねないと指摘している。(IDG)

» 2004年08月04日 07時23分 公開
[IDG Japan]
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 米サンフランシスコで8月3日、LinuxWorld Conference & Expoが開幕した。基調講演に立ったRed Hatのマシュー・ズーリックCEOは、世界規模のソフト業界を作り出すグローバルな取り組みに参画する企業としてRed Hatを描き出し、米国はオープンソースに向けた動きに乗り遅れるリスクを冒していると警鐘を鳴らした。

 米国の法律、著作権、教育、特許ポリシーをめぐる最近の状況から判断すると、オープンソースに対する米国の姿勢が原因で、卓越したIT供給国としての米国の立場は揺らぎかねないとズーリック氏は指摘。「米国はどんどん後追いする側になりつつある」と語った。

 「私はインドの大統領と面会することができ、大統領は1時間にわたって、オープンソースを利用して同国の教育システムを21世紀に移行させるつもりだと私に語った。それなのに、自分の地元の教育委員会が相手だと、Linuxというものを紹介するため面会の約束を取り付けるだけでも難しいのはなぜなのか」

 米国の特許および著作権政策は変える必要があるとズーリック氏は訴え、現行の政策は「潜在的に」違憲の可能性があると指摘。「ソフトとソースコードの完全な開示を義務付けない現行のプロセスでは、著作権の登録で不必要な脅威が生じてしまうとわれわれは考える」と述べている。

 Linuxをめぐっては昨年SCO GroupがIBMを提訴、Linuxに知的財産権を侵害されたと主張しており、スズリック氏は昨年のLinuxWorldで、SCOに対して辛らつなコメントを浴びせていた。今年の基調講演ではRed HatがSCOを相手取って起こしている訴訟には触れなかったが、明らかにSCOを念頭に置いた批判の言葉はいくつか聞かれた。

 「1年前、私がここに立っていたとき、われわれは挑戦を受けていた。業界版のSopranos(マフィアの世界を描いた人気TV番組)が進歩というハイウェイの上に割れたガラスを置くようなやり方で異議を唱え、知的財産権に対して根拠のない主張で脅しをかけてきた」

 同氏の基調講演の前日、Red Hatは新しいアプリケーションサーバを発表。これにはIBM、BEA Systems、Oracle、Object Web Consortiumといった多彩なサプライヤーがオープンソースに基づいて協力している。

 しかしズーリック氏はRed Hatの製品よりも、オープンソースソフトに影響を与えるもっと大きな問題の方に関心があったようで、基調講演の中でデモは行わず、Red Hatの製品にもほとんど言及しなかった。

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