サンは8月18日、AMD Opteronマシン拡充の第2弾として、4ウェイのラックマウント型サーバとワークステーション2製品を発表した。OpteronマシンではLinuxもサポートするが、同社の営業を統括する末次氏は、「Solaris x86が本命」とし、その優位性を強調した。
サン・マイクロシステムズは8月18日、AMD Opteronプロセッサを搭載したx86プラットフォーム拡充の第2弾として、4ウェイのラックマウント型サーバ「Sun Fire V40z」とワークステーション「Sun Java Workstation W1100z」および「同W2100z」を国内にも投入することを明らかにした。米国では7月下旬に発表され、今月初めのLinuxWorld San Franciscoでお披露目されていた。
都内で行われたプレス発表会に出席したサンの常務・営業統括本部長、末次朝彦氏は、「x86プラットフォームはわれわれの戦略を支える柱」だとする。
コンピュータやモバイル端末だけでなく、例えば、RFIDの普及によってあらゆるモノがネットワークにつながるようになると、短いデータのやり取りが爆発的に増加する。Sunでは「Chip Multithreading」(CMT)の技術を盛り込んだ「Niagara」や「Rock」の開発を急いでおり、インテル、AMDとの提携や次世代SPARC/Solarisサーバ「Advanced Product Line」(コードネーム)の共同開発を軸とする富士通との提携強化はそうした狙いを反映している。
AMD Opteronプロセッサに関して言えば、今年2月、1Uのきょう体に2基のプロセッサを搭載するラックマウント型サーバ「V20z」の発表と併せ、Opteronサーバの設計を手がける新興企業、Kealiaの買収も明らかにした。AMDを除けば「最大のOpteron専門家集団」といわれる同社の買収によってx86ソリューション開発の加速を狙ったものだ。Sunの共同創設者で、最近はKealiaで働いていたアンディ・ベクトルシャイム氏が再びSunに復帰するというオマケまで付いている。
XeonやOpteronの搭載マシンでは、Solaris x86版だけでなく、LinuxもSunはサポートする。特にRed Hat Enterprise LinuxやSuSE Linux Enterprise Serverは、Sun自身が提供し、一次的なサポートの窓口となる。オープンソースの潮流に抗しきれず、大きな路線転換と受け止める向きもあるが、この日のプレス発表会では、20年の実績を誇るSolarisにスポットライトが当てられた。
末次氏は、中でもSolarisとLinuxのライセンスおよびサポート料金の合計を比較し、そのアドバンテージを強調した。それによると、既存のV20zを3年間使うとして、平日の9時から17時のサポート対応の場合でSolarisが16万7600円、Red Hatは29万9400円、24時間365日対応では24万4000円と99万円となり、さらに差が開く。
「“無償”OSはわれわれにとって悩ましい。事実は無償ではないからだ」と末次氏。Linuxでしか動かないパッケージを使いたい場合以外はSolarisを薦めるというのがSunのスタンスだ。
同席したデスクトップ&モビリティ・ソリューション本部長の植松裕次氏も、「信頼性とスケーラビリティの点で、OpteronとSolaris x86版はベストな組み合わせ」と話す。
この日発表されたSun Fire V40zは、4ウェイサーバのSPECweb99_SSLベンチマークでXeon MPおよびItniumを搭載したライバルたちを凌駕しており、Opteronの優れたパフォーマンスをうまく生かしている。将来は8ウェイサーバの投入も計画されており、リニアな性能向上を引き出せるSolarisがさらに生きる。
32ビットしかサポートしないSolaris 9 x86版だが、今年後半に登場するSolaris 10 x86版では、セキュリティがさらに強化されるほか、64ビットも正式にサポートされる。8月24日、25日、都内のホテルで行われるOracle Developer Daysでは、Oracle 10gをSolaris x86版とLinuxで稼動させ、Solarisの性能優位をアピールするデモも計画しているという。
また、この日は触れられなかったが、先のLinuxWorld San Franciscoでは、Solaris 10 x86版でLinuxアプリケーションをそのまま動作させる「Project Janus」も発表されている。
価格は、Opteron 884/1.8GHz×2、2Gバイトメモリ、73.4GバイトHDDのSun Fire V40zが101万9000円から、Opteron 144/1.8GHz×1、512Mバイトメモリ、80GバイトHDDのSun Java Workstation W1100zが26万3000円から、Opteron 246/2.0GHz×2、2Gバイトメモリ、73.4GバイトメモリHDDの同W2100zは62万円からとなっている。
なお、年内の期間限定で個人開発者を対象にしたプログラムも用意され、Sun Java Workstation W1100zの最小構成が19万9500円(税込み)という特別価格でオンラインストアから購入できるという。
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