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» 2004年06月04日 00時15分 公開

「富士通 + Sun」は最強タッグ、Sunはスループットコンピューティングにフォーカス

「SunNetwork Shanghai 2004」は2日目を迎え、スケーラブル・システムズ・グループを統括するデビッド・イェン執行副社長が登場した。「富士通とSunの組み合わせは包括的、かつ価格性能比が高い」とし、前日、明らかにされた富士通との提携の詳細に多くの時間を割いた。

[浅井英二,ITmedia]

 6月3日、アジアで初めての開催となった「SunNetwork Shanghai 2004」は2日目を迎えた。午前のキーノートには執行副社長のロバート・ヤングジョンズ氏やチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサーのビル・バス氏らが登場し、同社のサービス事業や同社が実践するSun Rayベースのセキュアなコンピューティングについて話した。

 また初日、次世代SPARC/Solarisサーバ「Advanced Product Line」(コードネーム)の共同開発を軸とする富士通との提携強化が明らかにされたが、スケーラブル・システムズ・グループを統括するデビッド・イェン執行副社長が、その背景から狙いまで多くの時間を割いて説明している。

「イノベーションを信じる」とイェン氏

 比較的センセーショナルに伝えられた富士通との提携強化だが、イェン氏は、「20年に渡る両社のこれまでのパートナーシップを考えれば、何も不思議はない」と話す。1986年、富士通がSPARCプロセッサを開発して以来、Sunは多くのマシンのエンジンとしてそれらを調達してきた。1999年には、SPARCプロセッサの共同開発にも踏み切っている。

 「両社がそのリソースを持ち寄れば、最も包括的で競争力のある製品ラインが出来上がる。これでライバルたちは、われわれに対してケチがつけられなくなる」とイェン氏。

 ジョナサン・シュワルツ社長兼COOも前日のキーノートで、SPARCプロセッサとSolaris OSが競争優位の源であることを改めて強調している。

 Windows NTが登場しようという1993年、ウォール街はSunに対して「Solarisをやめた方がいい」とアドバイスした。しかし、彼らはセキュアでスケーラブルなSolarisが必ず必要とされると信じ、研究開発を続けた。歴史に「もし」はないが、あのときSolarisを捨てていたら、1990年代後半の目覚しい業績はなかったろう。

 「Sunと富士通は、だれかが開発した技術(Linux)を再販する競合他社とは違う。IBMがどのように対応してくるのか楽しみ」と言い放っている。

ロードマップを提示

 イェン氏は、SPARCプロセッサファミリーのロードマップも示している。それによると、「ビッグアイアン」(大型UNIXマシン)向けではSunの「UltraSPARC III → IV → IV+」というラインと富士通の「SPARC64 V → V+ → VI → VI+」というラインが2つ並行して走る。

 Sunは既にハイエンドのSun FireサーバではUltraSPARC IVへの移行を済ませており、IIIに対して2倍の性能を叩き出している。恐らく2005年にはIV+によって性能をさらに2倍に引き上げ、2006年のSPARC64 VIにつなぐ腹だろう。今回、富士通と共同開発することが発表されたAdvanced Product Lineの一つは、その時点で登場するSPARC64 VI搭載マシンと考えられる。

 エッジに近いサーバ向けには、「UltraSPARC IIIi → IIIi+」のラインが継続される一方、新たに2006年初めから「Niagara」が仲間に加わる。2005年に登場が見込まれるUltraSPARC IIIi+は、現行のIIIiに比べ、2倍の性能が期待されているが、全く新しいアーキテクチャのNiagaraは何と15倍だ。UltraSPARC IVが、新しい「スループットコンピューティング」時代にフォーカスした第1世代のプロセッサだとすれば、Niagaraは第2世代といえる。

 コンピュータやモバイル端末だけでなく、例えば、RFIDの普及によってあらゆるモノがネットワークにつながるようになると、短いデータのやり取りが爆発的に増加する。Sunではスループットコンピューティング構想によって、こうした新しいコンピューティングに対処しようとしている。

 スループットコンピューティングを実現する「Chip Multithreading」(CMT)技術は、プロセッサの高速化に対してメモリのスピードが追いついていかないというギャップを逆手に取ったもの。メモリのレスポンスをただ待つのではなく、次のスレッドを処理させる手法によって、1つのコアで複数のスレッドを同時に処理できる。例えば、ネットワークパケットの処理と計算を同時に行えれば、それだけスループットは改善できる。現在のように1つのタスクを高速に処理する機能を追求するのではなく、同じダイの上にマルチスレッド化されたコアを複数個載せることによって、デザインの簡素化を図ろうというものだ。

 これにプロセッサ製造技術の改善も加わり、1つのダイに複数のコアが搭載されていく。仮に4つのスレッドを処理できるコアを4つダイに載せたプロセッサは、16のスレッドが同時に処理できることになる。

 イエン氏によれば、Niagaraは8つのコアを同じダイに搭載し、32スレッドを同時処理でき、現行のUltraSPARC IIIiの15倍というアプリケーションのスループットを叩き出すという。もちろん、マルチスレッディング機能では、ほかのOSを寄せ付けないSolarisがあってこそだ。しかも、バイナリー互換はこれまでどおり、一貫して保証され、アプリケーションを書き換える必要はない。

 Niagaraは、エッジに近いサーバ向けだが、1つのスレッドの処理能力も高め、バックエンドのビッグアイアン向けの「Rock」も計画されている。

 「Sunは、スレッドの処理能力追求をあきらめたわけじゃない。Rockは、シングルスレッドの高い性能とThroughput Computingの利点を併せ持つ」とイエン氏。むしろ、Sunは「IV/IV+ → Niagara → Rock」と連なるThroughput Computing向けプロセッサラインの開発に注力することが、富士通との提携強化の狙いでもある。

 ITのコモディティー化に伴い、「IT doesn't Matter」(ITなんて重要じゃない)式の風潮もあるが、イエン氏はイノベーションの信奉者だ。

 「ITベンダーにはITインフラを管理しやすく、価格性能比の高いものにすることが期待されている。われわれはイノベーションを信じている。SPARC/Solaris上にITインフラが構築され、新しいビジネスモデルが創造されることを信じている」(イエン氏)

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