巨大パッチSP2はWindows XPをどう変えるか(1/3 ページ)

セキュリティ向上が強調されるWindows XP SP2だが、ワイヤレス対応やTablet PC、Media Center PCの追加機能など、ほかにもいろいろと新機能はある。ここではSP2の変更点を網羅していく。(IDG)

» 2004年08月26日 10時16分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Windowsベースのコンピュータにとって、外の世界は危険だ。Microsoftは新しい巨大パッチ「Windows XP Service Pack(SP)2」でこの問題に対処しようとしている。それはうまくいっているのだろうか? 完全な成功というわけではないが、それでもSP2はセキュリティホールをふさぎ、PCの保護を従来よりも容易にするのに大きく貢献しているため、不可欠なアップグレードだ。

 (PC World誌9月号に掲載された)この記事が印刷に回された時点で、SP2は8月にコンシューマーの手元に届くとMicrosoftは予測していた。SP2はWindows XPが登場して以来最大のアップデートであり、2001年秋のデビュー以来、同OSを襲ってきた既知のセキュリティ問題の多くに対処し、また未知の問題の予防を約束している。

 しかし、SP2は単なる巨大なセキュリティフィックスではなく、Wi-FiおよびBluetoothネットワークへの接続を容易にし、Tablet PCやMedia Center PCに新機能を追加し、マルチメディアコンポーネントをアップデートする。これらがすべて220Mバイトのパッケージ(この記事の締め切り時には、リリース候補第2版しか見られなかった)に詰め込まれており、ブロードバンド回線なら1時間足らずでインストールできる。

 われわれはSP2のβ版を何台かのシステムでテストしたが、大きな問題は生じなかった。ただし、さまざまに構成が異なる多数のコンピュータに正式版がインストールされたときに、このアップデートがどう動くのかを知るのは不可能だ。メジャーアップデートをする際には必ず、始める前に重要なファイルをバックアップし、システム復旧ポイントを作るといういつもの予防策を取るべきだ。そして締め切りが迫っているときはインストールを始めてはいけない。MicrosoftはSP2に関して無料の電話サポートを提供する(6月29日の記事参照)

セキュリティの改善点

 SP2のセキュリティアップグレードの中で最も重要なのは、Windowsに組み込まれたファイアウォールが大幅に刷新された点と、幾つものセキュリティ機能への便利なリンクを提供する「Security Center Control Panel」が追加された点だ。これらの新しいツールにより、最小限の防御だけを備えたシステムでも一般的な種類のインターネット攻撃から守られ、また(理論的に)PCを将来的な攻撃から守る基本的なセキュリティ技術も提供される。

内蔵ファイアウォールの刷新

 SP2では、Windows 2000から組み込まれているパッとしない(しかも隠れている)「Internet Connection Firewall」を、「Windows Firewall」に置き換えている。Windows Firewallは、ハッカーやワームがインターネット経由で仕掛けてくるスキャンや攻撃を遮断できるが、無料のZoneAlarmとは違って、既にマシンのハードディスクに潜んでいるプログラムがインターネットにデータを送るのを防ぐことはできない。アウトバウンド(マシンから送り出す)データに対する保護は、感染したマシンからほかのマシンへとスパイウェアやワームが広がるのを阻止する上で役立つ。

 Windows Firewallはインバウンド(マシンに送られてくる)データの保護しかできないため、インバウンド・アウトバウンドの両方を制御するファイアウォールよりもずっと有効性が落ちる。アウトバウンド制御がないため、当面は別に無料または有料のファイアウォールを使う必要があるだろう。Windows Firewallを唯一の防御策として使うのは妥当ではない。

 とは言え、それでもSP2のWindows FirewallはPCの安全性を高める、価値ある機能だ。デフォルトでオンになっているため、ユーザーが自分でフル機能のファイアウォールソフトを入手できなくても、マシンを守ってくれる。

 Windows Firewallは先のバージョンよりも設定しやすくなっており、一部のアプリケーションが、カフェや空港の無線LANホットスポットなど、安全だと保証できないネットワークからデータを受信しないようにするオプションもある。

Security Center

 最も明白なユーザーインタフェースの変更は、Webページのようなダッシュボードを使って各種設定やWindows Firewallなどのセキュリティアプリケーションの立ち上げができるWindows Security Centerだ。PCのセキュリティをまとめて管理する場所を開発する最初のステップとしてはいいが、(少なくともわれわれが目にしたβ版では)まだ十分に包括的とは言えない。

 Security CenterはWindows Firewallにリンクし、すぐに各種設定に手が届く。サードパーティのウイルス対策ソフトと連係して、定義ファイルがあまりに古い場合にアラートを出すこともできる。ただしこうしたサードパーティソフトの動作設定を変えたい場合は、アプレット(あるいはこうした機能を制御するコンポーネント)を個々に起動する必要がある。

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