日本HPは企業の個人情報保護対策を支援すべく、セキュリティ関連製品のラインナップを強化し、新たなコンサルティングサービスなどを提供する。
日本ヒューレット・パッカードは8月30日、セキュリティ関連製品のラインナップを強化した。同社は先に、個人情報保護対策ソリューションに関し、プロティビティとの間で提携を結んでいるが、一連の発表により個人情報保護対策を強化。2005年4月に迫った個人情報保護法の全面施行を前に、企業の対応を支援するのが狙いだ。
「やはり個人情報保護法の影響は大きく、企業の間ではコンプライアンスの機運が高まっている」(日本HPのコンサルティング・インテグレーション統括本部セキュリティソリューション部ビジネス開発マネージャの栗田晴彦氏)。同社のセキュリティ事業でも、個人情報保護関連の引き合いが増加しているということだ。
このたびリリースされたのは、個人情報保護法に沿った管理体制作りを支援するコンサルティングサービス「HP 個人情報保護IT計画コンサルテーション」のほか、アイデンティティ/アクセス管理製品「HP OpenView Select Identity V3.0」「同Select Access V6.0」や検疫システムの「HP Quarantine System」など。9月1日より順次出荷が開始される。
このうちHP 個人情報保護IT計画コンサルテーションは、同社のコンサルティング部隊によって提供される。まず、経済産業省が定めたガイドラインに沿ったアンケートを通じて、企業の安全管理状況を把握。さらにギャップ分析を行い、どういった領域の対策が必要かを指摘して、効率的かつ包括的な対策を支援する。価格は480万円から。
またHP OpenView Select Identity V3.0は、OSやデータベース、ファイルサーバなど、システムごとに発行、運用されているアイデンティティ(ユーザーID)を、一元的に管理するための製品だ。
「退職者や委託先に発行したアカウントを消し忘れるというケースが非常に多い。それも、故意ではなく不注意によることが多いが、それも(アイデンティティが)システムごとにばらばらに管理されているためだ」(栗田氏)。HP OpenView Select Identityはこれらのアイデンティティを一元管理し、ポリシーやワークフローに応じて適宜、必要な権限を割り当てる。価格は533万円(最小構成は500ユーザー)から。
「法律その他の整備によって、アクセス管理やログの監査を行おうと考える企業が増えてきているが、それらの土台にあるのはアイデンティティ管理。いくら監視を行おうと、アイデンティティ管理がしっかりできていなければ意味がないことに、多くの企業が気付き始めてきた」(栗田氏)。
個人情報保護というよりも、不正な端末の排除や社内でのウイルス蔓延を防ぐという意味から提供されるのが、HP Quarantine Systemだ。
昨年のワーム蔓延を機に、パッチが適用されていなかったり、ウイルス対策ソフトが適切に更新されていない端末を検出し、アップデートなどの対策を行うまで社内ネットワークへの接続を許可させないという検疫システムが続々とリリースされるようになった。HP Quarantine Systemもその一種と言え、端末にインストールされる「Qu Agent」、クライアント情報を集中管理する「Qu Manager」と、実際に検疫作業と接続制御を行う「Qu Controller」から構成されている。
特徴は、ネットワーク機器やVLAN設定などに変更を加える必要がなく、既存ネットワークをそのまま生かせることという。現在、クライアント側でサポートされるウイルス対策ソフトウェアやパーソナルファイアウォール、マネージャ側で連携が可能な資産管理ソフト(マイクロソフトの「SMS」など)の検証を進めており、10月1日より販売を開始する予定だ。
同社は他に、パートナーと提携し、日立製作所の「JP1/秘文」とインテリジェントウェイブの「CWAT」の販売を開始することも発表している。こうしてラインナップを強化することにより、「アイデンティティ&アクセス・マネジメント」「ログ収集、監視システム」「不正プログラム、ウイルス対策」「暗号化、持ち出し制御、コンテンツフィルタリング」という4つの分野にまたがるセキュリティソリューションを展開していく方針だ。
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