「ムダを省くRFID」──“リーン”エンタープライズを追求するOracleOracle OpenWorld London(1/2 ページ)

Oracleは、英国ロンドンで開催中のカンファレンス「Oracle OpenWorld London 2004」で、「リーンエンタープライズとRFID」と題したパネルを設け、専門家やユーザーを交えてディスカッションを行った。

» 2004年09月10日 08時29分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 無駄のない業務の仕組みは、ITやインターネット時代到来のずっと前から経営者の課題だった。フォードやトヨタといった製造業は1世紀もの間、果敢にこの問題に取り組んでいる。

 業務アプリケーションからこの問題解決に挑むOracleは、英国ロンドンで開催中のカンファレンス「Oracle OpenWorld London 2004」で、「リーンエンタープライズとRFID」と題したパネルを設け、専門家やユーザーを交えてディスカッションを行った。

 効率化を追求した業務システムの理想系が「リーン」(無駄のない)だ。現在、これを科学的な手法に落とし込むため、各方面でさまざまな研究が行われている。例えば、この1、2年、サプライチェーンの効率化を実現する技術としてRFID(無線ICタグ)が浮上しているが、Oracleでは、RFIDもリーンエンタープライズを実現する技術の1つとして位置づけている。同社は今年1月にRFIDをサポートした倉庫管理ソリューションを発表している。

 リーンエンタープライズについて説明したOracle EMEA(欧州・中東・アフリカ)地区 産業セクター担当副社長のサイモン・ポラード氏は、「効率化は文化レベルから情報ベースへ移行しており、自動化やデータ収集が求められている」とし、RFIDはこれを実現する「唯一の方法だ」と言い切った。ちなみに、リーンエンタープライズへの道のりを分厚い本にたとえた場合、われわれはまだ序文の半分にも達しておらず、ごく初期の地点にいるのだという。

 調査会社AMR Reserchで調査ディレクターを務めるナイジェル・モントゴメリー氏は、具体的な数値を引用しながら、現在のシステムにいかに無駄があるかを突いた。

 「サービス部門の15%の作業は品質の再加工に割かれており、いったん流通経路に乗った製品の20%は返品されている。20%の新製品は利益を生み出しておらず、78%の製品は定価以下で販売されている」

 このような無駄や機会損失は、「情報の可視化により解決が可能だ」とモントゴメリ氏は話す。

 RFIDに関してはここ1、2年、米Wal-Martなどの大手小売業によるパイロット事業の開始が大々的に報じられている。効率化がもたらすコスト削減はというと、Wal-Martの場合、年間83億5000万ドルものコスト削減を予想しているという。内訳を見ると、最大のコスト削減項目はバーコードスキャンにかかる人手の削減(67億ドル)。万事うまくいけば、投資額30億ドルが気にならないほどの投資対効果といえるだろう。

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