「ムダを省くRFID」──“リーン”エンタープライズを追求するOracleOracle OpenWorld London(2/2 ページ)

» 2004年09月10日 08時29分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
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 RFIDそのものは何も新しい技術ではない。ハードウェア面での技術革新が進んだことや価格低下、無線技術の進展がこのところのブームの背景にある。ここ3年ほどRFID導入のパイロットを手がけてきたインドのITサービス企業、Tata Consultancy Serviceのトップ、ラジープ・サワラット氏は、「世界を変えてしまうほどのものではない」と現実的な見解を示す。実際には、RFIDのハードウェア(チップやリーダーなど)から、ITシステムのハードウェア、エッジプロセス、統合/アプリケーション・サーバ、アプリケーション、ビジネスプロセスの各レイヤ連携しなければ、最大のメリットを引き出すことができない。しかも、RFIDのハードウェアはまだまだ発展途上で、タグの設計やアンテナなどで改良の必要がある。

求められるのはアプリ間連携

 とはいえ、RFIDはデータの洪水を意味する。Oracleの出番は、情報収集、およびその後の「収集した情報をどうするのか」にあり、事業開発副社長のアリソン・フライホフ氏は、管理フレームワークの中で収集、アクセス、分析、反応の4ステップを繰り返すイメージを説明した。真ん中にあるのは、「1つの真実」を提供する単一データベースだ。

事業開発副社長のアリソン・フライホフ氏

 膨大なデータに対応できるのか? 管理や取り扱いは大丈夫なのか? セキュリティは? こうした技術的な不安に対しては、「問題なし」とフライホフ氏は自社技術に自信を見せるものの、「リアルタイムでさまざまなソースから情報を収集し、人の介入なしにアプリケーションがイベントに対応し、アプリケーション間でやりとりが行われるような自動化の仕組みが必要」と説明する。

 彼女は、「RFIDはスタンダロンでは意味がない。仕組みにビルトインすることが必要」とし、Oracleの強みとして、リスクを減らすアーキテクチャ、継続的なビジネスバリューの追加、既存投資の活用、小さく開始して規模を拡大できる拡張性をアピールした。

 欧米では消費者団体によるプライバシー懸念の声が上がっているが、これに対しては、Oracleのフォーカスは消費者の手に届く前のサプライチェーンにあることを強調したほか、通信範囲が3〜4メートルと比較的短いことなども補足した。既にパイロットプロジェクトを開始している国際物流大手DHLの担当者からは、所有者情報を組み込むことにより、自分の荷物が紛失するという不安を解消できるとし、「ポジティブな方法にも使える」と指摘した。

RFIDパイロットを開始している世界最大級の貨物会社DHLでグローバルDHLプログラムディレクターを務めるトレバー・ピアーズ氏。同社ではタグが印刷できることが条件だった
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