Oracle、統一データモデル実現のために統合を強化したEBS 11i.10を発表(1/2 ページ)

OracleがロンドンでE-Business Suite 11i.10を発表した。開発を率いるウォール氏は、「1つの真実」を手に入れられる同社のソリューションをアピールした。

» 2004年09月07日 12時47分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 9月6日に英国ロンドンで開幕した「Oracle OpenWorld London 2004」では、午後の基調講演にはロン・ウォール執行副社長が登場し、「E-Business Suite 11i.10」を発表した。マイナーアップデートではあるものの、業界特化機能や統合機能などを中心に2100以上の新機能を搭載、統一データモデルという同社の方針を支える重要な製品となる。

SAPとの戦いにも自信を見せるウォール氏

 E-Business Suiteの開発を率いるウォール氏は、今回のカンファレンスの目玉となる「E-Business Suite 11i.10」を、「業界特化」「ビジネスインテリジェンス」「統合」という3つのキーワードから説明した。3つのキーワードのうちの業界特化型と統合は、同社が業務アプリケーション事業を強化する上で重要な役割りを担うことになる。

 業務特化型拡張機能は、ライバル独SAPは既に展開しているアプローチで、Oracleは今回初登場となる。この日、ウォール氏はヘルスケア、航空・国防、公共など15業種14種の拡張機能を発表、既にパイロットプロジェクトや本番稼動直前のものも多数あるという。

 例えば、900人の患者を収容できる仏の病院、Centre Hospitalier Intercommunal Cretail et Montreuilでは、財務管理の強化、臨床プロセスの最適化、政府の返済モデル変更への対応などが課題だった。ERP機能を病院向けに拡張した「Healthcare Transaction Base」を導入することで、既存のヘルスケアシステムの統合、最新の返済コードへの対応、コスト分析などを実現しているという。

 ビジネスインテリジェンスは、具体的には「Daily Business Intelligence(DBI)」というダッシュボード機能の強化を指す。ウォール氏は、データウェアハウスを別に構築するアプローチに対し、分析やサマリー作成のためにその都度サブセットを移動する必要が生じていることから、「完全とはいえない。データを移動することは実用的ではないからだ」と否定、単一データベースにデータを格納するグローバルシングルインスタンスの必要性を説いた。コスト削減はもちろん、「リアルタイムに正確な情報にアクセスでき、好きなようにドリルダウンでき、しかもストレートに実現する」とそのメリットを説明した。

 この日披露したデモでは、セールスマネジメントとしてログインし、日付や役割、製品カテゴリーなどさまざまな項目から情報を自在に表示してみせた。契約に結びついた案件を表示したり、契約に結びつかなかった理由を分析したり、マーケティングのページにいき、コストと売り上げを対比させてキャンペーンのROIを測定するといった具合だ。

 11i.10では、レポート、測定、ダッシュボードの各機能をそれぞれ、53%、82%、19%増加させるなど、DBIで大幅な機能拡充を図ったほか、それらの機能が箱から出した状態で使えるという。

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