Oracle、統一データモデル実現のために統合を強化したEBS 11i.10を発表(2/2 ページ)

» 2004年09月07日 12時47分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
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 最後の統合は、「スイートの開放」に方針を転換した同社の戦略を支える重要な機能となる。ウォール氏は「グローバルシングルインスタンスは理想だが……」と前置きをしながら、現状はそれが難しい場合もあると認め、Oracle以外のアプリケーションと連携するための統合技術を紹介した。

 技術的には、BtoB、EAI、Webサービスなどの統合技術、900以上のビジネスイベント、150のOAG(Open Application Group)が定義するメッセージ技術、業界特化型のプロトコル、統合リポジトリで実現することになる。これらとアプリケーションサーバ側の統合技術により、顧客情報と各種アプリケーション(非Oracleのものも含む)をハブ&スポークの概念に当てはめた「Customer Data Hub」を実現するというのがOracleの新しい提案だ。

1つの真実

 「顧客はだれか? 何を持っているのか? ―― 顧客マスターデータが何十種類もあると(こんな基本的な質問にすら)答えられない」とウォール氏。Customer Data Hubにより、E-Business Suiteを導入していない顧客も、顧客データの「1つの真実」を得ることができるという。

 ウォール氏は最後に、11i.10からさらなる効果を引き出すために、Linuxサーバの活用により少ない投資でより高い性能を上げることなどをアドバイスした。

 2003年7月以来のアップグレードとなった11i.10では、合計2100以上の新機能が追加されており、そのうちの半分は業界特化型機能、残り半分は業界横断型機能という。この日同社は、1モジュールである調達機能で2製品「Oracle Procurement Contracts」と「Oracle Service Procurement」を発表している。11i.10のリリースは今後2カ月以内に行う予定だ。ウォール氏によると、既に顧客の90%が11iベースで、移行はスムーズに進むだろうという。

 Oracleは現在、アプリケーション事業において1万3000の顧客を持つ。世界ベースでマーケットシェアは5.5%、一方のSAPは20%と水をあけられている(2003年、IDC調べ)。これまでの「Oracle製品で統一」というスイート戦略から「他社技術と連携」の統合戦略へ方向転換した11i.10は、アプリケーション事業をさらに強化しようと同社が取り組んだ上での決断となる。

 ウォール氏は基調講演後のQ&Aセッションで、SAPとの競争に関して、「問題を解決する方法はたくさんある。Oracleは最もシンプルな方法を提供する」とコメント、「そして、(これまでの歴史では)最もシンプルなソリューションが勝つことが多い」と付け加えた。

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