Oracle OpenWorld London開幕、「EBS 11i.10」でデータ中心アーキテクチャを完成Oracle OpenWorld London Report(1/2 ページ)

欧州・ロンドンにOracleが戻ってきた。「OpenWorld」となったカンファレンスでは、EMEA(欧州・中東・アフリカ)の顧客らに同社製品のすべてを紹介する。目玉は「E-Business Suite 11i.10」。海峡の向こうに本拠地を構える独SAPへ挑むことになる。

» 2004年09月07日 12時03分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 9月6日から3日間、米Oracleは英ロンドンで「Oracle OpenWorld London 2004」を開催する。今年1月、米サンディエゴで開催した「Oracle AppsWorld 2004 San Diego」において、これまでのスイートから他社技術とも連携する方針に転換し、新しい概念「Oracle Information Architecture」(OIA)を打ち出したOracleは、ここ欧州でOIAのビジネスプロセス層を実現する「E-Business Suite 11i.10」を発表、OIAを完成させた。

テムズ川に架かる有名な橋の1つ、ロンドン橋。英国はここ数年好景気が続いており、バブルとも言われている。Reutersなどの顧客を持つOracleにとっては、米国に次いで2番目の市場だ

 霧の街として知られるロンドンだが、9月6日は朝から青空が広がり、陽気に恵まれた中、Oracle OpenWorldは初日を迎えた。この日の朝の基調講演には、同社EMEA(欧州・中東・アフリカ地区)担当執行副社長のセルジオ・ジャコレット氏、今年初めに社長へと昇格したチャールズ・フィリップス氏が登場し、「エンタープライズ・グリッド」をコアとして展開する同社の戦略を再確認した。

 フィリップス社長は、ITアーキテクチャ、アプリケーションとインフラ、アプリケーションと情報の3つの場面で進行しているITのトレンドを指摘、それへのOracleの解決策を提示した。

ラリー・エリソン会長に代わり、Oracleのナンバーツーとして余裕のスピーチを行うフィリップス社長

 ITアーキテクチャでは、RFID(無線ICタグ)や無線技術の発達・普及により、あらゆるモノが情報を発生する「データブロードキャスティング」状態、トランザクションの増加、リアルタイムでの情報提供、規制準拠などの課題があり、それがグリッド誕生の必然性、必要性となっているという。さらには、企業は垂直型統合から仮想型に移行しつつあり情報共有が進んでいることから、データを利用する人も増加している。他方、ハードウェアを見ると、ムーアの法則の限界が見え始めている。

 これらの問題を解決するのは「グリッドしかない」とフィリップス氏。Oracleのグリッドコンピューティングは、数多くの安価な端末を接続して仮想的に1台のシステムに見せるもので、負荷分散、高速な接続などのメリットをもたらすという。フィリップス氏は、「ストレージの仮想化がサーバでも進行する」と説明する。また、これまでの巨大なSMPマシンの場合、「1台のマシン内では(ユーティリティ構想)を実現できても、複数台のマシンをまたいでは実現しない」とその欠点を指摘した。

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