Oracle OpenWorld London開幕、「EBS 11i.10」でデータ中心アーキテクチャを完成Oracle OpenWorld London Report(2/2 ページ)

» 2004年09月07日 12時03分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
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 アプリケーションとインフラ分野では、新コンセプトとなる「Oracle Information Architecture」(OIA)が登場する。効率性、標準化という2つのニーズがあるものの、現在のITシステムではアプリケーションとデータ、それにプロセスがばらばらになっていると指摘、「アプリケーションとインフラを再同期化しなければならない」という。

 これを実現するためにOracleが考案した体系がOIAとなる。これにより、標準技術を利用した安全な設定、事前に構築済みで反復性があり、重複の少ないシステムを構築できるという。

 「サービスは一度書くだけでよい」(フィリップス氏)

OIAでSAPに挑む

 OIAでは、単一のデータベースを土台に、データハブ、ビジネスプロセス、情報アクセスの各レイヤーが載る。ITインフラ全体にサービス指向を取り込むものといえ、今後同社が業務アプリケーション事業に注力する上で、ライバルとの大きな違いになる部分だ。

 最後のアプリケーションと情報(データ)という領域では、CRM、ERP、SCMなどアプリケーションごとにデータが分散している「(情報)サイロ」の現状を指摘した。Oracleはデータとアプリケーションを分離し、統一のデータモデルを作成してそこにデータを集めることでこれを解決するという。このような単一のデータを利用するというアプローチを実現する製品が、この日発表した「E-Business Suite 11i.10」となる。

 グリッドを1年前に発表し旋風を巻き起こしたOracleは、それにとどまることなくアプリケーション分野でもブレークスルーを追求し、その結果、統合戦略に方向転換している。これからはOIAを推し進め、主力のデータベースとアプリケーションで相乗効果を狙うことになる。

 これまでのところ、新戦略の感触は悪くないようだ。フィリップス氏は基調講演後のQ&Aセッションで、この1年を総括して「グリッドとは何かを啓蒙する1年だった」と振り返りながら、「認知は進んでいる。しかも、グリッドをOracleに結び付けてとらえてもらっているようだ」と評価している。

 ちなみにこの日、同社はEMEA地区で実施するグリッド啓蒙のための新プログラム「Oracle Grid Index Maps」も発表している。調査会社に委託して、EMEA地区の約600社(非Oracle顧客も含む)に対し、半年ごとにグリッドの普及状態を標準化、統合、知識、メリット、コミット、ROI実現という6つのステップに分けて定点観測するもので、初回の評価は3.1となっている。

 なお、公開買い付け期限が迫っているPeopleSoft買収問題に関してフィリップス氏は、「引き続き実現に向けてベストを尽くす」とコメント。同社は前四半期(5月末締めの第4会計四半期)に増収増益を記録、年商100億ドル(1兆円)企業となっており、「業務アプリケーション市場のマーケットシェアも伸びている」とフィリップス氏、最大手独SAPとの戦いに自信を見せた。

会場となったEXCEL、ロンドン東部の再開発地区にある
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