IBMとBoeing、軍事・諜報システムに向け提携

IBMとBoeingはこの提携により、防衛・諜報システムなど政府系システムの契約を獲得する上で有利になり、大きなシナジー効果が得られると期待している。(IDG)

» 2004年09月22日 18時07分 公開
[IDG Japan]
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 米政府から契約を勝ち取るためにもっと有利なポジションにつこうと、米IBMと米Boeingは新たな提携を発表した。この提携は、推定2000億ドルと言われる地上・宇宙システムの市場でシェアを獲得することを目指している。

 20日に発表されたこの提携により、軍事通信、諜報活動、国土安全に関する政府系システムの契約を獲得する上で有利になると両社は話している。

 「未来の紛争は、誰が戦艦や戦闘機、戦車などの物理資産を一番持っているかよりも、誰が最も情報を手にし、その情報を軍隊のあらゆる関係者と最も効率よく共有する方法を持っているかによって決まる」とBoeing Integrated Defense Systemsの社長兼CEO(最高経営責任者)ジム・オルボー氏は発表文で述べている。

 同氏が、両社は軍事諜報において共同開発できる4つのプログラム分野を特定したと語りつつも、その分野を明らかにはしなかった。「両社の間で大きなシナジー効果が得られると考えている」

 10年にわたる提携を通じて、両社は現行および将来の防衛、諜報システム向けの高度なデジタル通信・情報技術を開発する。これらの技術は、衛星、戦闘機、軍艦、潜水艦、戦車、無線機、携帯コンピュータの間で同じインタフェース、標準、プロトコルを使って情報を共有するネットワーク中心の作戦行動において重要だと両社は説明している。

 Boeingには軍事・諜報プラットフォームの主要な提供企業としての経歴と、大手システムインテグレータとしての経験がある。IBMは情報管理ミドルウェア、マイクロプロセッサ技術、電子設計ツール、ソフト、半導体検査技術などを提供する。

 この提携の主眼は、IBMの支援を得て数百の企業が行ってきたこと――「文字通り、効率の良い現代的な統合型ITインフラへの移行」――を、米国防省が進める手助けすることにあると、IBMの上級副社長ジョン・E・ケリーIII氏は語る。

 Boeingの広報担当ジョー・テディノ氏は、両社は研究開発で協力するため、今回の提携は両社がこの先政府の事業に入札し、契約を勝ち取る後押しになると語る。「この先どこから取り組みを進めるか、どうすれば契約を獲得できるかを綿密に計画する支援ができる」

 この提携の一環として、両社はソフトとデジタル通信に取り組む2カ所のコンピテンシーセンターを設置し、そこで自社の技術を披露し、自分たちの能力に関する詳細な情報を提供するとテディノ氏は説明している。

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