「早めのスパム対策を」呼びかけるIIJ

IIJソリューション本部プロダクト推進部課長の近藤学氏は、日本でも早晩、スパムは北米並みの厳しい状況になると予測。今のうちの対策を呼びかけた。

» 2004年09月28日 21時41分 公開
[堀 哲也,ITmedia]

 「この夏あたりからものすごい状況になってきた」。インターネットイニシアティブ(IIJ)が9月28日開催したプレス説明会で、ソリューション本部プロダクト推進部課長の近藤学氏は、日本でも早晩、スパムは北米並みの厳しい状況になると予測。今のうちの対策を呼びかけた。

近藤学氏 IIJもこの夏メールシステムに対しDoS的インパクトを受けたと、ソリューション本部プロダクト推進部課長の近藤氏

 近藤氏によると、日本では昨年までスパムの問題はそんなにシビアな状況になっていなかったという。スパムを受け取る量も個人差がある状況で、エンドユーザーがISPに対策を求めるリクエストが上がりにくい微妙な状態だった。

 だが、IIJのスパムの量はこの夏10倍に膨れ上がった。「IIJのメールシステムもDoS的インパクトを体感した」と近藤氏。

 原因は、ゾンビによるものや、ツールを使ったスパムのばら撒き、そしてスパムによる大量のエラーメールの戻り先として利用されたため。対策を施し、現在は落ち着いているというが、「遅かれ早かれつらい状況になっていくのは明らか。後手になる前に対策する必要がある」と呼びかけた。

 既に北米では、スパムの量に圧倒的され、事実上電子メールが使えない状況が発生してきているという。近藤氏によれば、あまりのスパムの量に「電子メールの使用さえもあきらめた」という人が出始めているという程だ。

 「ISPのスパム対策NPO団体、MAAWG(Messaging AntiAbuse Working Group)のエンジニアと話をすると、目が血走っている」と表現して、ISPにとってはスパムが死活問題になっている状況を説明した。

 IIJでは、国内でも日本版MAAWGの必要性を呼びかけ、十数社のISPやベンダーで活動を開始。Sender-IDの実証実験や、ISP間での情報共有など、対策や強調の枠組みを作ろうと模索している。

 「ISPの初期の無料期間を利用してスパムを放っては、ISPを変える“打ち逃げ”なども横行している。正直、スパマーの情報は共有したい。しかし、通信の秘密や顧客情報というのがネックになり、どこまで協力できるのか」と、辛い胸の内も明かす。

 解決に向けては、混迷しているSender-IDをはじめとした送信者認証技術の導入、受け取り側でのアンチスパムフィルターの導入、業界全体での対応、エンドユーザーの啓蒙、を挙げ、「どれか1つで解決することはない」と話した。

 同社は同日、企業向け電子メールアウトソースサービス「IIJ Mailゲートウェイサービス」と「IIJポストオフィスサービス」に迷惑メール対策機能を追加した。米MX Logicの多層のフィルタリングエンジンを利用し、24時間監視体制でフィルタリングルールを更新していくもの。

 2005年3月までMailゲートウェイサービスでは、迷惑メールフィルタ部分の料金を無償で提供するキャンペーンも実施する。

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