MSは、WindowsコードベースのサブセットのみでできたバージョンのWindowsを開発中だ。(IDG)
米Microsoftは特定のサーバ用途向けに、WindowsコードベースのサブセットのみでできたバージョンのWindowsを開発中だ。顧客にとってはメンテナンスコストが抑えられ、攻撃に対する耐性の強い製品を作り出す動きとなる。
この新しい「ロールベース」(role-based)製品は、サーバ版のLonghornリリースが予定されている2007年に登場予定。コードベースを削減することは、Microsoftにとって大きな技術的転換であり、Linuxが投げかける脅威に対して対抗を強める一助となるかもしれない。ただ、同時にエンジニアリング上では大きな困難も伴うと、業界アナリストは指摘する。
Microsoftは既に、二種類のロールベースバージョンのWindowsを販売している。一つはストレージ向け、もう一つはWebサーバ向けだ。これは基本的には、目的のタスクに必要ない部分のWindowsをユーザーから隠したもので、インストールと利用が容易になる。ただ、これらの製品ではまだ全体のWindowsコードベースが基盤となっている。
LonghornでMicrosoftはストレージ、ファイル/プリントサーバといったタスク向けに、Windowsコードの一部だけを使ったロールベース版のWindowsを提供したい意向だと、Microsoftのプラットフォーム戦略担当ジェネラルマネジャー、マーティン・テイラー氏は話す。
「現在はまだコードベース全体であり、手にするビット量は変わらない。ただ囲いが張ってあるだけだ。われわれはその機能に必要なだけのビットを提供するロールベースのモデルを導入したいと思っている。これはLonghornの設計目標の一つでもある」。テイラー氏は10月1日のインタビューでこう語った。
電子メールやWebホスティングといった作業を切り離し、個別のサーバやサーバ群に割り当てている企業は多い。Microsoftは汎用OSとしてフルバージョンの販売を継続する一方で、特定業務向けのサーバ用にロールベース製品を提供するかもしれないと同氏は話した。
こうした動きは基本的に、セキュリティ強化とメンテナンスコスト削減という二つの点で顧客にとってメリットがあると、調査会社Directions on Microsoftのアナリスト、マイケル・チェリー氏は指摘する。
Microsoftの広報も、縮小版のWindowsを提供する目的は、メンテナンスコスト削減と「攻撃対象となる面積の削減」にあることを確認した。
フルバージョンのWindowsに比べてロールベースサーバ版の方が価格が安くなるのかどうかについて、テイラー氏は言及しなかった。現在販売されているロールベース製品の「Windows Storage Server 2003」と「Windows Server 2003 Web Edition」はフルバージョンのWindows Server 2003より安いが、利用制限がかけられている。
Windowsの一部を取り除くことは、エンジニアリング的な困難も伴う。まず第一に、どのコンポーネントを利用できるのか独立系ソフトベンダーが気にすることなくアプリケーション開発を続けられることを、Microsoftは保障しなくてはならない。
同氏はこの製品の具体的なスケジュールは明らかにしなかったが、開発作業は「かなり進んでいる」とコメントしている。
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