日本IBM、J2EE 1.4に準拠したアプリケーションサーバソフトの最新版を発表

日本IBMは、システムの可用性を高める先進的なオートノミック・コンピューティング機能を搭載した、アプリケーションサーバソフトの新製品「WebSphere Application Server V6」を発表した。

» 2004年10月07日 16時39分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 日本アイ・ビー・エムは10月7日、システムの可用性を高める先進的なオートノミック・コンピューティング機能を搭載した、アプリケーションサーバソフトの新製品「WebSphere Application Server V6」(WAS V6)を発表した。

 製品ラインアップは「WAS V6」のほか、分散環境でのクラスタリングなどをサポートした「WAS Network Deployment」とISVソリューションの基盤として使われる「WAS-Express」の3種類。このうち、WAS-Expressは「特別なオファーリングで提供されると考えると誤解がない」(山下氏)とのこと。いずれの製品も年内に出荷予定。

 東京・台場で開催中の「IBM Rational Software Development Conference」の会場内で行われた発表会で、ソフトウェア事業WebSphere事業部長を務める山下晶夫氏は、「WAS V6でビジネスの抽象度を上げたことで、部品をコンポーネント化して、それを組み合わせるというやり方が飛び立った」と話した。

WebSphere事業部長を務める山下晶夫氏

 最新バージョンの特徴は大きく分けて「HA機能の標準搭載」、「ESB機能の実装」、「開発の運用管理の効率化」の3つ。

 これまでは、システムのトランザクション処理中に電源切断など思いがけない障害が発生した場合、トランザクション処理が正常に完了したかどうか判断できないこともあった。また、このような状況ではハードウェアとアプリケーションサーバが再起動するのを待つ必要があり、業務の再開に時間がかかっていた。

 「HA Maneger」と呼ばれる新機能では、トランザクションログをNASに格納することで、別のWAS V6搭載のサーバからでも参照可能とし、障害発生時でも即座にトランザクションを継承できるようになっている。

「HA構成というと、OSレベルで組まれることが多いが、それらの障害回復機能というと分単位であることが多い。WAS V6にアプリケーションレベルで組み込まれたHA機能は秒単位(10秒くらい)での復旧が可能」(山下氏)

 従来、こうした機能はWebSphere Extended Deployment(XD)で提供されていたが、アプリケーションサーバ側で持っておいてもよいものを組み込みつつ、XDと組み合わせて稼動することで、さらに高い可用性を保障しようとするものだ。

 さらに、WAS V6は、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の基盤となる新機能「ESB(Enterprise Service Bus)」を業界に先駆けて搭載している。SOAとは、相互に結び付いているビジネス機能、業務プロセス、および組織を有機的に結びつけ、ビジネスの変更にも柔軟に対応できるITインフラを構築する考え方。これらは、「サービス」と呼ばれる、再利用可能な標準化されたソフトウェア・コンポーネント(部品)を通じて、すぐに組み合わせられます。ESBは、この標準ソフトウェア・コンポーネント同士の連携を仲介し、SOA環境を実現するための基盤を実現するもので、いわゆるデザインパターンの一種と考えることができる。このESB機能を搭載することで、システム間の多様なアプリケーションの柔軟な連携が実現可能となる。

 開発の運用管理の効率化については、JSFの実行環境のサポートのほか、J2EE 1.4にいち早く準拠したことなどが挙げられる。また、異なるバージョンの混在するセルをサポートしているため、前バージョンからの段階的な移行が可能。

 また、年内に、WebSphere製品群の開発ツールである「IBM WebSphere Studio Site Developer」(WSSD)および「WebSphere Studio Application Developer」(WSAD)の後継として、それぞれ「IBM Rational Web Developer for WebSphere Software」、「IBM Rational Application Developer for WebSphere Software」という名称でRational製品のラインアップとして提供される予定。

「統一されたアーキテクチャの基に製品を再構築しているところ。年内には何らかの形で発表したい」(山下氏)

参考資料:WebSphere市場シェアの推移(クリックで拡大します)

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