東京・台場で行われている「IBM Rational Software Development Conference」。初日の基調講演は、これ以上ないというほどの豪華メンバー4名が各人のソフトウェア開発への思いをぶつける迫力あるものとなった。
日本アイ・ビー・エムの主催で、10月7日から8日にかけて東京・台場で行われている「IBM Rational Software Development Conference」。日本発のRationalカンファレンスは、Rationalブランド・マネージャの渡辺隆氏、日本アイ・ビー・エム、シニア・テクノロジー・エバンジェリストの米持幸寿氏、そしてSDPテクニカル・エバンジェリストの藤井智弘氏による基調講演で幕を開けた。
会場はソフトウェア開発の現在、そして近未来を体感しようと多くの人が集まり、立ち見が出るほどの盛況となった。この大盛況には冒頭あいさつを行った日本IBMの執行役員 ソフトウェア事業担当、三浦浩氏も社員に席を譲るように指示したほどだ。
三浦氏から紹介を受け、壇上へ立った渡辺氏は、「PL/Iのころは反復ではなく、ウォーターフォールで開発していた」など自身の体験も交えながらこの10年の進歩の早さを回顧する。
同氏は、UMLやRUPを取り入れた現在の開発環境の次について言及、Eclipse 3.0という新たなプラットフォームで、完全に統合された開発ツール群を使い、開発者だけでなく、ビジネスユーザーそして運用責任者をも統合した真の「アプリケーション開発ライフサイクル・マネージメント」が現実のものとなったと話す。
次に渡辺氏から壇上に上げられた米持氏と藤井氏だが、「ずっとこんなカンファレンスがやりたかった」と念願かなって興奮気味の藤井氏から、いかに開発をやりやすくするかについて説明した。
「もはやソフトウェア開発というのは動けばいい、というのでは立ち行かなくなった」と話す同氏は、間もなく発表される見込みのRational製品の後継「Atlantic」(コードネーム)を使って、より直感的に操作できるモデリングを披露した。
「モデリングがUML 2.0になったことで、紙と鉛筆でそれを表現するほうが早いということにならないよう、できるだけ簡単になるよう、極力自動化した」(藤井氏)
米持氏は、同じくAtlanticを使って、台場周辺の気温をWebサービスで取得し、それを摂氏から華氏へ変換するという開発工程のデモを行った。
だが、ここで思いがけずアクシデントが起こる。それまで順調に進んでいた作業がビルドの際になってプロセスがフリーズしてしまったのだ。予定より早めの進行だったため、再度トライしてみるが、これもフリーズしてしまい、完成形を見せることができなかった。
これには米持氏も残念がるが、それを眺める観衆からは、別段不満の様子は見られない。それも当然だろう。開発された結果という完成系を見せることが重要なのではなく、その開発の過程がいかに容易なものになっているかが垣間見えたことで十分だからだ。それほど、従来の開発とは一線を画す開発の容易さがAtlanticでは実現されている。
なお、ここまでの3者の講演内容の詳細はこちらの記事が詳しい。
米持氏の話が終わるころ、席の最前列でPowerBook G4を開いていた男性が、静かに立ち上がり、壇上へと向かった。グラディ・ブーチ氏である。
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