XP SP2をインストールしても大丈夫なの?(2/2 ページ)

» 2004年10月13日 20時28分 公開
[IDG Japan]
IDG
前のページへ 1|2       

 公正を期すために言えば、SP2のインストールにはある程度のリスクを伴うことをMicrosoftは明言している。同社はSP2をリリースした直後に、このサービスパックに含まれるWindows Firewallが動作を開始すると機能が停止したように見える50種類のアプリケーションのリストとともに、これらのプログラムを再び動作させるための手順を公表した(8月17日の記事参照)

 このリストに主に含まれているのは、企業向けのバックアップソフトやウイルス対策ソフト、リモートアクセスソフトなどだ。これらのプログラムはサーバからの接続を待ち受けるが、Windows Firewallがこの通信をブロックするのである。またこのリストには、「Unreal Tournament 2003」などのポピュラーなネットワーク対応ゲームも幾つか含まれている。

 別のMicrosoft Knowledge Baseの記事には、Windows XP SP2システム上で「機能が失われる」数十種類の一般的なアプリケーションがリストアップされている。このリストには、「ZoneAlarm」を使うと起動時にエラーが起きるという問題や、Eset Softwareのウイルス対策プログラム「NOD32」を使おうとするとネットワーク動作が完全に停止する、Symantecの「Norton AntiVirus 2003」のスケジュールスキャン機能が無効になるといった深刻なコンフリクトに関する説明が記載されている。

 それでも、Service Pack 2は、特にセキュリティを重視するユーザーが望んでいた機能が多数組み込まれた重要なアップグレードである。インストールに関するMicrosoftのガイドラインに従うとともに、既知のコンフリクトリストを事前にチェックすれば、インストールで問題が生じることはないか、あるいは生じたとしてもちょっとしたコンフリクトに遭遇する程度で済むだろう。

機能を削って登場するLonghorn

 Windows XPを2001年にリリースして以来、Microsoftは開発リソースの大半を「Longhorn」のコードネームで呼ばれる次期版Windowsに投入してきた。

 同社は今年、Longhornに搭載予定の新技術の一部をプレビューした。「Avalon」のコードネームで呼ばれるグラフィックシステムは、今日の強力なグラフィックプロセッサの性能を有効に利用する。「WinFS」と呼ばれるファイルシステムは、データアクセスを高速化する。そして主としてプログラマーにとって関心があるのが、Microsoftの.NETアプリケーション開発モデルの後継バージョンとなる「WinFX」である。

 しかしSP2が予想外に多くの開発リソースをLonghornから奪うことになったため、Microsoftは、約束したすべての機能を搭載した次期OSをリリースするのか、それとも同OSを「妥当な時期」(Microsoftのジム・オールチン副社長)にリリースするのかという選択を迫られた。

 Windows XPが間もなく4回目の誕生日を迎えようとする中、Microsoftは後者を選択した(8月30日の記事参照)。Longhornは2006年初頭に、WinFXとAvalonだけを搭載し、喧伝されたWinFS抜きで出荷される予定だ。Microsoftでは、WinFSはLonghornの出荷後しばらくして(おそらく有料のアドオンとして)登場する見込みだとしている。

 この計画変更が一般的なWindowsユーザーにとって重要な問題なのかどうかは、何とも言えない。WinFSそれ自体では、どのようなメリットがあるのかはっきりしないからだ。

 IDCの調査ディレクター、アル・ギレン氏は、「WinFSを利用するアプリケーションが登場するまでの間は、WinFSがなくても何も困らない」と指摘する。企業ユーザーは既にWindows 2000 ProfessionalおよびWindows XPで満足しており、Windows 95が登場したときのようにアップグレードを熱心に求めるユーザーで長蛇の列ができることは考えられないという。

 「Microsoftを含む多くの人々が、次なるWindows 95を待ち望んでいるが、Longhornの場合はそのようなシナリオにならないだろう」(ギレン氏)

 さらにギレン氏は、「WinFS抜きでLonghornをリリースするというのは、ソフトウェアのモジュラー化へのトレンドを示している可能性もあり、これはPCユーザーにとって朗報かもしれない」と付け加える。

 MicrosoftはLonghornからWinFSを切り離しただけでなく、Windows XPおよびWindows Server 2003向けのAvalonとWinFXを2006年にリリースする予定だと発表した(9月13日の記事参照)。つまり、Longhornにアップグレードしなくとも、AvalonとWinFX技術の恩恵を享受できるようになるということだ。

 「コア機能をアドオンとしてリパッケージするという手法は、ユーザーにとってOS全体をアップグレードしなければならないというプレッシャーを多少軽減するものとなるだろう」とギレン氏は予測する。多くのユーザーは、こういった全面的アップグレードをできるだけ長く先送りしたいと思っているのだ。

質問項目 回答
回答者のうちSP2をインストールした人の割合 62%
SP2をインストールした人のうち問題が生じなかったと答えた人 74%
軽度の問題に遭遇した人 10.3%
中程度の問題に遭遇した人 9%
深刻な問題に遭遇した人 4%
最も多かった問題 ソフトウェアの動作異常
SP2で人気の高い機能 ポップアップ広告のブロック機能
最も人気のない機能 サードパーティ製セキュリティソフトとのコンフリクトを起こす新しいセキュリティ機能
SP2に関する調査結果(出典:Windows XPのユーザーを対象としたPCWorld.comの調査。3421人のサイトビジターが調査に協力した)


前のページへ 1|2       

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ