イチローに続け、ジャストが一太郎の次世代技術「xfy」で米国に乗り込むXML 2004 Report(1/2 ページ)

ワシントンDCで開催中のXML 2004でジャストシステムが複合XML文書をシームレスに作成・編集するための「xfy」技術を披露した。浮川社長は、北米および欧州市場に参入することも宣言した。

» 2004年11月17日 16時27分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 米国の首都、ワシントンDCでジャストシステムが次世代版一太郎と呼べる複合XMLドキュメントのプラットフォーム技術を披露し、北米および欧州市場に参入することを宣言した。

 米国時間11月16日、この日開幕した「XML 2004」カンファレンスでジャストシステムが現地プレス向けのブリーフィングを行い、「xfy」(エクスファイ)テクノロジーをプレビューした。「x化する」という3文字が名称として与えられたxfyは、例えば、XHTMLとMathMLといった複数のボキャブラリーを組み合わせた複合XMLドキュメントをシームレスに作成・編集するためのアーキテクチャであり、プラットフォーム技術。xfyサイトも併せて開設され、プレビュー版がダウンロードできる。

 xfyを売り込むために渡米した浮川和宣社長は、xfyテクノロジーが組み込まれた製品群を2005年前半に出荷し、北米および欧州市場に参入することも明らかにした。

浮川社長(右)と開発面を統括する初子専務

 一太郎「次世代版」への取り組みは1996年、一太郎Arkプロジェクトとしてスタートしたが、なかなか殻を破れずにいた。しかし、XMLが登場すると、ジャストシステムは2000年からコンテント主導のアーキテクチャーを模索していたという。

 ブリーフィングのあと、浮川氏は、「米国でイチロー並みの成功を収めたい」と意気込みを明かした。既に公共分野で強みを持つシステムインテグレーターらがxfyに関心を寄せているほか、パートナーづくりは幅広く可能性を探っていくという。

複数のボキャブラリーをどう扱う?

 現在、さまざまな分野でデータに意味を付けるため、「ボキャブラリー」と呼ばれる標準づくりが急ピッチで進んでいる。HTMLをXMLで定義し直したXHTMLや数式を記述するためのMathML、ベクターグラフィックを描くためのSVG(Scalable Vector Graphics)などがそうした代表例。それぞれの性質からXHTML文書の中にMathMLやSVGで記述されたデータが組み込まれることが多い。

 これまでこうした複合XML文書を作成・編集するには、それぞれのボキャブラリーに対応したツールを使い分けるか、あるいはどちらにも対応したツールを使うかのどちらかだった。前者が煩雑なのはもちろん、後者であっても新たにボキャブラリーを追加したい場合、ツールが対応するのを待たなければならない。

 例えば、政府機関の入札依頼書(RFP)に対して建設会社が見積もりを出す場合を考えてみよう。さまざまな資材に関するデータが複数のシステムに点在しているだけでなく、最新の資材に関するデータはサプライヤーにあるはずだ。見積もりは、これらのデータを組み合わせ、調達担当者や技術者、あるいは営業担当者がまとめ上げていく必要がある。仮にサーバサイドではXML化されていてもHTMLに変換してブラウザに出力する現在主流のWebコンピューティングではデータの再利用が難しいし、何よりも将来にわたってすべての資材を単一のボキャブラリーで記述することなど不可能だ。

 ジャストシステムでは、異なるボキャブラリーで記述されたデータをシームレスに作成・編集でき、かつ新たなボキャブラリーへの対応も容易なアーキテクチャーは大企業を中心に需要が増してくるとみている。XMLが政府や大企業に浸透している北米や欧州市場に売り込むべく、xfyの発表の地をワシントンDCに求めたのはそのためだ。

XML 2004の会場となったワシントンDCのクラシカルなホテル
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