しかし、同社をxfy技術の開発へと突き動かしたのは、それだけではない。むしろ、「エンドユーザーはXMLの恩恵を享受できていないのでは?」(浮川氏)という疑問があったという。
SOA(サービス指向アーキテクチャ)が流行語となり、Webサービスが浸透すれば、企業のデータもXML化が進む。直感的で使いやすい複合XML文書の作成・編集ツールさえ与えてあげれば、エンドユーザーはデータを再利用し、さらに新しい価値を生み出せると浮川氏は信じている。
「エンドユーザーにはデータを駆使する力があり、彼らの満足度を高めるのがわれわれの使命」と浮川氏は話す。
そのため、今ではあまり耳にしなくなった「WYSIWYG」(What you see is What you get)にもこだわりを見せている。ワードプロセッサやグラフィックツールでは当たり前の操作性もXMLオーサリングと聞かされれば驚くはずだ。もちろん、双方向性も実現されており、XMLデータを直接編集してもプレゼンテーションに即座に反映される。
下のグラフィックを参照してほしい。これまでにない全く新しい同社のアプローチは、1つのDOMツリーの下に、例えば、HTMLのゾーンとSVGのゾーンをつなぎ、それぞれを編集エンジンで処理し、イメージを合成するものだ。
新しく標準として登場したボキャブラリーやプライベートなボキャブラリーには、編集エンジンをJavaで開発してプラグインで対応できるほか、XMLデータを変換して出力するXSLT(XSL Transformations)に似たVocabulary Connection Descriptor(VCD)を利用して既存の編集エンジンと双方向でマッピングする機能も用意する。もちろん、XMLデータを読み込み、SVGエンジンに引渡し、グラフ化することもできる。
「XSLTの知識があれば、VCDを記述することによってかなりのことができる」と話すのは開発を統括する浮川初子専務。さらにXSLTに詳しくないエンドユーザーが活用できるようにVCD編集ツールの開発も計画されているという。
ジャストシステムは1980年代末、一太郎Ver.4において、ユーザーが機能を追加できる「VAF」(Value Added Function)の仕組みを搭載した。xfyでは、こうしたプラグインの考え方が脈々と受け継がれ、さらに徹底されている。
「ユーザーは機能が使いたいわけではない。例えば、データがあり、それを目的に応じて自由に加工したいのだ。xfyのアーキテクチャーであれば、必要に応じてVCDという機能をダウンロードすればいい。データがスマートになれば、データとアプリケーションの関係は主客逆転する」(浮川氏)
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