名門カーネギーメロン大学が神戸に日本校、高度な情報セキュリティ人材を育成

兵庫県とカーネギーメロン大学は来年秋の授業開始を目指し、日本校をつくることを明らかにした。初年度は情報セキュリティのプログラムに特化し、約20名の学生を募集する。

» 2004年11月26日 17時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 コンピュータサイエンス全米トップのカーネギーメロン大学が日本校を設立する。

 11月26日、兵庫県とペンシルベニア州ピッツバーグのカーネギーメロン大学(CMU)は来年秋の授業開始を目指し、同大学情報大学院日本校をつくることを明らかにした。情報システムが社会のあらゆるところに浸透するに伴い、情報セキュリティ技術を持った人材の育成が課題となることから、初年度は情報セキュリティのプログラムに特化し、約20名の学生を募集する。

 情報セキュリティ技術の多くは米国に依存しているのが現状。阪神・淡路大震災の教訓から安全・安心な地域社会の構築を目指し、「情報セキュリティ先進県ひょうご」を掲げる兵庫県は、コンピュータサイエンスで全米トップのCMUに白羽の矢を立てたという。

 CMUが提供するプログラムは、情報工学系と公共政策経営系の2つの教育機関のカリキュラムを融合・体系化した以下のようなもの。

  • 通信ネットワーク概論
  • 情報セキュリティ概論
  • セキュリティアーキテクチャおよび分析
  • 情報セキュリティのリスクマネジメント
  • IT管理者のための統計学
  • 不確定環境状態における意思決定
  • ネットワークセキュリティ
  • ソフトウェアエンジニアのためのセキュリティ
  • デジタル時代のプライバシー
  • データベースマネジメント
  • 通信マネジメント

 これらの科目は本校と同水準のもの。CMUが常駐教員を派遣するほか、日本校専任教員には元アクセンチュアの武田圭史氏らの就任も予定されているという。講義はすべて英語で行われ、1年4カ月(4カ月×4)の履修期間で144単位を取得すれば、CMUの学位(情報工学修士─情報セキュリティ)が与えられる。授業料は本校と同額(1学期当たり約174万円)で負担は重くなるが、奨学金制度も用意する。

 当面、日本校は神戸市中央区に置かれるが、兵庫県としては、「ひょうご情報公園都市」(三木市)構想の中核施設に発展させたいとしている。

 兵庫県企画管理部教育・情報局情報セキュリティ課の多田昌史課長によれば、個人情報保護法のような日本の法制度にあった日本校独自科目の開講も予定しているという。

 なお、日本校設立準備会にはアドバイザリーコミッティーが設けられており、大阪大学サイバーメディアセンターの下條真司氏、慶応義塾大学環境情報学部の村井純氏、武藤佳恭氏、須磨学園の西和彦氏らが名を連ねている。

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