仮想化が変えるデータセンターの新モデルEMC Forum 2004 AUTUMNレポート(1/2 ページ)

EMC Forum 2004では、仮想化をキーワードにVMwareとシスコがそれぞれに仮想化技術を紹介した。EMCとシスコは、共同でストレージルータ呼ばれるネットワークベースでのストレージ仮想化技術を開発しており、紹介された。

» 2004年11月26日 17時05分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]

 EMC Forum 2004のセッション「新しいデータセンター・モデル:仮想化への展望」では、ヴイエムウェア(VMware)とシスコシステムズ(シスコ)のスピーカーが登場。それぞれに仮想化技術を紹介した。

 EMCジャパンでは、現在取り組むILM(情報ライフサイクル管理)ソリューションの延長線上に、同社が買収したVMwareを中心とした仮想化インフラストラクチャを形成していく絵を描いている。VMwareおよびシスコと共同開発を進めているストレージルータは、その仮想化のキーとなるコンポーネントである。

サーバ統合から仮想インフラへ

 最初にVMwareのシニアシステムズエンジニア、名倉丈雄氏が登壇した。

名倉丈雄氏 ヴイエムウェア シニアシステムズエンジニアの名倉丈雄氏

 VMwareは1998年、スタンフォード大学で取り込まれていたIAサーバにおける仮想化技術をベースに設立された会社。コンピュータを仮想化する事業を展開し、全世界で200万以上のユーザーを抱える。まず「VMware Workstation」をリリースし、昨年発表した「Virtual Center」まで、コンピュータを仮想化し自由なインフラを作る4つの製品ラインを抱える。製品はデスクトップ用とサーバ用に分かれるが、サーバ用が売り上げの80〜85%を占めているという。

 「日本ではPCで仮想マシンを作って、Windows上でLinuxを使うというケースが多い。だが、今後は企業の基幹となるサーバ系でも仮想化が普及する。従来はサーバ統合がIT分野の“はやり”となっていたが、われわれはそれを一歩進めて仮想インフラを提唱している」と述べる。

 サーバは増える一方だが、その使用率は5〜20%に留まっており、増えるだけ管理コストも上昇する。IT予算が現行システムの運用、保守に取られ、新たなシステム開発ができない状態が生じているのだ。

 そうした問題を解決するのが、VMwareの仮想インフラ技術である。VMwareのサーバ系製品「VMware ESX Server」ではホストOSの上にVMwareの製品がアプリケーションとして入り、さらにその上にゲストOSが乗る。つまり3層構造により、仮想インフラを構築する。

 最近では、VMware製品がOSとしてインストールされると、サーバからストレージ、ネットワークなど、それぞれのリソースをすべてコントロールでき、効率的に仮想化環境が構築できるようになっているという。

 「サーバから、ネットワークやストレージなどの物理的な垣根を越えてリソースが使える。それにより、ハードウェアのライフサイクルと、システムのライフサイクルを切り離して管理することができる。新しいシステムを作ることが、新しいサーバを購入することにはならないわけだ」

 また、その仮想化レイヤで一貫性のある標準的なサーバ環境が構築でき、最終的には、各サーバをITインフラ構築のためのビルディングブロックとして利用できるようになる。

 同氏が例を示したDR(Disaster Recovery)環境では、現在ディスクのミラーを取り、それを遠隔に飛ばすのが現在の一般的手法だ。このDRシステムでは、例えば大阪にも同じサーバがないと当然立ち上がらないため、データだけをバックアップすることが多かった。しかし、VMwareの仮想インフラではファイルとして実現しているので、同社の製品が動いていれば、IBMのマシンで動いている仮想マシンのシステムを大阪のHPのサーバで動かすといったことが可能になるという。

 「仮想化は今後のサーバ環境、インフラ環境のコア技術になるだろう」というのが名倉氏の結論だ。

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