仮想化が変えるデータセンターの新モデルEMC Forum 2004 AUTUMNレポート(2/2 ページ)

» 2004年11月26日 17時05分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]
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シスコが考えるBusiness Ready Date center

 シスコのシステムエンジニアリング・アドバンスドテクノロジー・エンジニアリング本部ストレージ・ネットワーク部の村上愼一部長は、同社のビジョン「Business Ready Date center」について紹介した。

村上愼一氏 シスコシステムズ システムエンジニアリング・アドバンスドテクノロジー・エンジニアリング本部ストレージ・ネットワーク部の村上愼一部長

 このコンセプトは、データセンターを効率的に構築するためのもの。ここでも仮想化がキーテクノロジーとなっている。「データセンター構築により、コンソリゼーションやリソースの最適化、ビジネスの継続性を実現しようとしているユーザーが多い。しかし、そのコストが問題であるという意見を多くいただいている。そのキーポイントは、リソースの最適化、つまりリソースの共有が図られていないということ」と村上氏。

 実際、場所は統合してもシステムが個別に構築されているサイロ型システムになっているわけだ。こうしたケースでは、当然運用管理も個別に行う必要があり、CPUが遊んでいてもそのリソースの共有は図れない。それに対し、シスコはプール型システムへの移行を訴える。

 サービス自体を共通インフラとして捉え、共有しようというわけだ。「セキュリティや運用管理など、絶対にシステムとして必要なサービスを企業のインフラとして定義して提供して、均一化して提供する。こうしたアプローチが必要である」(同氏)

カンパニーワイドでストレージをプール化

 このシスコとEMCは今年10月末、ネットワークベースのストレージの仮想化コンセプト「EMC Storage Router」を発表した。「CISCO MDS 9000」スイッチ上に、「ストレージ・サービス・モジュール」という仮想化エンジンとハードウェアを置いて、ネットワークベースで仮想化環境を提供するものだ。

 最大の特徴は、ディストリビューションアーキテクチャにある。このアーキテクチャにより、まったくキャッシュを行わず、遅延を発生させないことを可能にしたという。また、このストレージ・サービス・モジュールは、FAISという標準APIを業界で初めて採用しているのも特徴だ。

 最近、いくつかのベンダーがこうしたカンパニーワイドで仮想化しようというストレージを提供しているが、これらはキャッシュモデルのストレージであり、実際にはそのキャッシュを実現するためにユーザーは2重の投資を強いられているのが現状だった。

 EMCでは、この仮想化エンジンの上にボリューム管理やRAIDサービスなどの機能を提供し、運用管理については「EMC Control Center」に統合していく計画にしている。

 EMCの西澤伸樹氏によると、「ストレージ・ネットワークにインテリジェンスを持たせ、仮想化するのがEMCの考えだ」と語り、EMCの仮想化に対する基本的な考えを示した。

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