「シンプルだが最も強力なコンセプト」、ILMへのさらなるコミット示すEMCEMC Forum 2004 AUTUNMレポート

EMCジャパンは11月2日、年次プライベートカンファレンス「EMC Forum 2004 AUTUNM」を開催した。米EMCマーケティング&テクノロジー担当主席副社長のハワード・エリアス氏は基調講演で、同社のILM戦略を説明した。

» 2004年11月03日 02時32分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 EMCジャパンは11月2日、年次プライベートカンファレンス「EMC Forum 2004 AUTUNM」を開催した。開幕基調講演では、米EMCマーケティング&テクノロジー担当主席副社長のハワード・エリアス氏が、同社の情報ライフサイクル管理(ILM)戦略を説明した。

 「シンプルだが、最も強力なコンセプトといえる」――。エリアス氏は、情報の価値を基準に格納するストレージを最適化していくILM戦略をこう強調して説明する。今や、ストレージ業界全体に広まったコンセプト「ILM」の旗手を自負し、まい進するEMCだが、この戦略こそがTCOの削減と現実のギャップを埋めることができる、とアピールした。

ハワード・エリアス氏 「すべての地域で30%を上回る売り上げ向上を果たした」と好調な業績もアピールしたエリアス氏

 現実問題、ストレージに関してIT部門が取り組まなければならない課題は多い。企業のストレージ関連投資の増加率は、2004年で7%ほどと見られており、増大する情報の増加率を考えると、利用率を向上させるためストレージ統合や、管理の自動化を図る必要性がある。

 新潟中越地震という大規模災害を目の当たりにしたばかりだが、災害対策や、運用のミスよるビジネスの停止を最小化するための、情報の保護や復旧といった体制も整えなければならない。一方、海外に目をやれば、法規制によってデータの長期保存が義務付けられ、日本でも長期保存への規制が進むと見られる。当然、情報を扱うストレージ分野での対応も迫られる。

 「TCOを削減しながら、これらをシンプルに解決する必要がある」とエリアス氏。これを解決するのが、同社の唱えるILMだと語る。

 同社のILM実現のためのフレームワークは、得意としてきたハードウェアプラットフォームを基盤に、「保護/リカバリ」「データの移動」「情報/コンテンツの管理」といった層を構成し、これらを貫く形で、「情報インフラストラクチャ管理」を定義している。

 ハードウェアの点では、ハイエンドSANストレージの「Symmetrix」をはじめ、ミッドレンジSANの「CLARiX」、NASの「Celerra」/「NetWin」、そして長期アーカイブ用途に適したCASと呼ばれる「Centera」と、幅広いディスク階層プラットフォームを提供している。「これだけの種類があるのは当社だけだ」と、エリアス氏が胸を張って見せるほど。

 だが、誇るのはハードウェアのだけでない。保護/リカバリでは、バックアップからリモートレプリケーションまでの機能や、プラットフォームに依存しないオープンソフトウェアを持つ。この領域でも「さまざまな技術に対応し、プラットフォームと同じ戦略を採りたい」と考えている。

 データの移行には、ツールを使ってアプリケーションに依存せずポリシーベースの移動を可能にするといい、また情報/コンテンツの管理では、Legato、Documetumと買収で手に入れた技術で、あらゆるタイプの情報に対応する方針だ。

ILMフレームワーク EMCのILMフレームワークとそれに対応する製品群を示している

 ILMを戦略に掲げて以来、実現に向けて、これまで非常に多くの製品を投入してきているEMCだが、また新たに、マルチベンダーのレプリケーション用の「EMC Open Replicator」や、インテリジェントなコンテンツ配置を可能にする「Documetumコンテンツ・ストレージ・サービス」などを発表している。

 今後もさらにILMを追求していく姿勢は、変えないようだ。

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