サンデープログラマーはWebサービスでチョッと稼ぐ――Amazon.co.jp

アマゾンは、Amazon.co.jpのサイト機能やコンテンツを、第3者が自分のWebサイトに組み込み、無料で利用できるサービス「Amazon Webサービス」を提供している。

» 2004年11月28日 16時33分 公開
[怒賀新也ITmedia]

 アマゾンは2003年の7月に、Amazon.co.jpのサイト機能やコンテンツを、第3者が自分のWebサイトに組み込み、無料で利用できるサービス「Amazon Webサービス」を開始した。開発者は、提供されるさまざまな機能を利用して、Webサイトを充実させることができるだけでなく、閲覧者がアマゾンで商品を購入した場合は、アマゾンから顧客紹介料を受け取ることもできる。技術者にとっては、企業向けの新技術というイメージもあるWebサービスの雰囲気を手軽に味わい、かつ小遣いを稼げるという一石二鳥のサービスとも言える。

 2000年11月のサービス開始以来、書籍だけでなく、CD、ゲーム、10月には玩具の販売も開始し、順調に成長を続けるAmazon.co.jp。同社がWebサービスを行う理由は、販売チャネルを拡大するための1つの手段として、いわゆるアフィリエイト・プログラムを発展させることだ。

 「Amazon.co.jpアソシエイト・プログラム」に登録したWebサイトを経由した販売については、3〜5%、プランによっては最大9%の紹介料が同Webサイトの運営者に支払われる。そうした運営者をサポートするために、自社のリソースをWebサービスを通じて提供している。

 Amazon Webサービスを利用するためには、まず同社Webサイトから、専用のAPI「Webサービス デベロッパーキット(SDK)」をダウンロードする必要がある。ここには、Amazon Webサービスの使用方法についてのドキュメント、DTD、XSD、SOAP、WSDL、XSLTスタイルシートの例、XML ドキュメントの例、SOAPリクエストのサンプル、Amazon Webサービスの使用許諾条件が含まれる。このAPIを入手することで、アマゾンの商品情報やセラー情報、ほかのプログラマーが作成したコンテンツ、さらに、ショッピングカートなどの技術を利用できるようになる。そして、デベロッパー・トークンをAmazon.co.jpに申し込めば準備が整う。

実例「Amagle.com」

 実際に、Amazon Webサービスを利用してアフィリエイトサイトを運営しているのが「Amagle.com(あまぐる)」だ。同サイトの運営者である山本浩司氏は、Amagleの紹介ページで、「Amazonの検索画面は無駄な情報が多い。」ことに気づき、Amazon Webサービスを利用して自らサイトを立ち上げたとしている。名前の由来は、「もちろんAmazon+Googleです。どちらも偉大なサービスですので“羽柴秀吉的に”名前を頂いております」と話している。

Amagleの実際の画面。歌手で検索すると、それに関するアマゾンの商品情報がヒットする。ここから一般ユーザーが商品を購入すると、発送、決済などはすべてAmazon.co.jpが行い、サイト運営者に紹介料が支払われる。

 Amagle.comがベースとして利用しているのが、Amazon Webサービスファミリーの1つ「Amazon E-Commerce Service」機能だ。これは、商品カタログやショッピングカート機能など、e-コマースを運営する技術者のためにアマゾンが提供するWebサービス。Amazon E-Commerce Serviceを利用して、Amazon co.jpの商品データを取得する方法は2通りだ。

 1つは、HTTPプロトコルのGETメソッドを利用し、クエリ文字列にパラメータを指定して同サービスを呼び出す「REST(XML over HTTP)方式」。もう一方は、SOAPを利用してアクセスする「SOAP方式」となっている。また、WebサービスのインタフェースであるWSDLも提供されている。

 Amazon Webサービスのテクニカルエバンジェリスト、吉松史彰氏は、「スケーラビリティや信頼性が実証されたAmazonのシステムを開放すると何が起こるか見てみたかった」と話す。現在、実際にツールキットをダウンロードしている技術者は6万5000人を超えており、顔ぶれとしては、個人の開発者やマーケットプレイスのセラー、システムインテグレータ、ソリューションプロバイダとなっている。こうした技術者は、必ずしもJavaや.NETといった環境ではなく、PHPやPerlを利用してWebサービスを開発しているという。

 週末あるいは年末の時間があるときに、e-コマース運営者への第一歩として一度Amazon Webサービスを試してみてはいかがだろう。

吉松氏。1998年からマイクロソフトのTech・Edなどで講演を担当し、C#や.NET Frameworkに関する著書も多数ある。

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